「雨上がりと入り口」
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「ねえ、パパ。なんか向うに行けそうだね?」
と、しゃがんで水溜りを見ている、5歳になる息子が言った。それを聞いた瞬間、僕の記憶は小学時代へ飛ぶのだった。
◇◇◇
雨上がり。水たまりに映る、青い空。僕はそれに気づき、しばらく水たまりを眺めていた。
「どうしたの?」
と、メグが聞いてきた。僕が、水たまりをのぞきこもうとしゃがむと、隣のメグも一緒にしゃがんだ。
「なんかさあ……」
「なんか?」
「なんかさあ……空の入り口みたいだよね?」
と、僕は言った。隣でメグもうなずいた。ちょっと嬉しかった。水たまりに映る青空は、空を切り取ったようで、地面に「空への入り口」が出来たように見えた。
「ここにさあ。足をいれたら……空に落っこちゃうかな?」
と、僕が言ったら……
「私が、ミズキをつかまえているから、片足だけ入れてみたら?」
と、メグが言った。よしそれなら!と、僕は腕をメグにつかんでもらった。もしかしたら、空に落っこちてしまうかもしれない……そんなドキドキで胸いっぱいだった。僕は、そっと「空への入り口」に、足をのばしてみた。
「あっ」
僕が足を入れた瞬間……水たまりが、にごってしまい、空への入り口は消えてしまった。
「ミズキ、こっちにも空への入り口あったよ」
僕とメグは、そのあとも他の水たまりでも一緒に試してみた。「空への入り口」探しをしたのだった。
小学校1年生の時の話しだ。
おしまい
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