「3秒までは雨に濡れない」
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僕が小学5年生の時の話しだ。
「わ〜い雨だ!ヤッホー」
と、ホリはなぜかご機嫌だった。
昼休み。僕らは長雨で退屈しながら時間をもてあましていた。そのなか、ホリはご機嫌そうにしていたのだ。
「なあなあ、ミズキ。雨を見に行こうぜ!」
と、ホリは僕を誘った。雨にはうんざりしている。わざわざ雨見てどうすんだ?
「雨なんか見てどうすんだよ!?」
と、文句を言う僕の腕を持って、ホリは僕を教室から連れ出した。僕らは昇降口にいた。外は雨。それも、土砂降りの雨だ。
「雨は避ければ当たらないんだよ!」
と、言ってホリは外へ飛び出した。シュッシュッと左右に避けるホリ。
「なっ!」
って、濡れてるじゃん!!もちろん、頭から雨に濡れていた。僕があきれた顔をしていると……
「3秒までは、まだ濡れていないんだよ!」
と、言ってまた雨の中を飛び出した。こんどは目をつぶって、手を合わせなんか拝んでいるポーズをした。
「つめて〜!!1秒多かった!雨に濡れた」
慌てて帰って来たホリ。頭からずぶ濡れだ。そんな事をしていると……
「なに、お前らやってるんだよ!」
と、上からクラスの友達が何人も降りてきた。
「窓から見えるぞ!なにやってんだよ?」
そう言ったのはゴウだった。なんだか楽しい雰囲気を感じたようだ。ゴウのほかにも、チョボオや隣のクラスの奴らなんかも見に来ていた。そしてギャラリーも増え……
「いいかあ。3秒までは濡れない事を、俺が証明してやる!」
と、ホリのテンションがあがった。ホリが雨の中に飛び出していく。土砂降りの雨だ。でも見ていると、 なんとなく、雨が少ない場所があるような気がしてきた。それよりなにより、楽しそうなホリの姿に、自分もやってみたくなったのだった。
「うお〜!3秒までは濡れない!!」
僕も飛び出した。すると……
「よし俺は5秒だ!!」
と、ゴウ。
「俺も」
「僕も!」
と、チョボオや他のクラスの奴らも飛び出した。昇降口は、なにやら得体の知れない興奮に包まれていた。その雰囲気と歓声に、5年生以外のギャラリーも増えていた。いつしか騒ぎを聞きつけて男の先生がやってきた。
「こら〜!お前らなにやっている」
と、先生は言ったが……
「面白そうだなあ、俺もやってみるか!?」
と、言って先生も参加してきたのだった。この男の先生は、隣のクラスの名物先生で、星や昔の遊びが好きで、そういったのを生徒に体験させてくれていた。そうそう、いつもワラジだったなあ。きっとその先生は、長雨で生徒が退屈している
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