暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
疑心好奇
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ぎが反映されていない。

ぽっかりと。どこまでも続く穴の洞を覗いているかのような、果てしない虚無。

いけない、と少女は危機感を抱く。

不安定になっている。それも、かつてないほどに。

ALOの一件からまる一年。できれば、このまま穏やかに時間が過ぎ、仮想世界での陰惨な思い出が風化していくのを願っていた。しかし、この時間はどうやら間違った方向に作用してしまったようだ、と《絶剣》と呼ばれる少女は思い知らされる。

長らく《鬼》を忘れていたところに、殺す殺されの話が舞い込む。

否応なく、彼は興味を持つだろう。しかしそれは、同時に己の中で居眠りするソレと再び向き合うことになる。

―――それに、レンは耐えられるの……?

思案げにもう一度少年を見やると、今度はその視線に気づき、小首を傾げてくる。その顔に作り笑いを返すと、少年は何か思うところがあっても飲み込んで笑い返してくれた。

直後。

「「――――――ッッ!!」」

同時に、レンとユウキは勢いよく振り返った。

感じたのは、よく見知った気配。

慣れすぎ、そして親しみ深い――――だがどこか底の見えない、そんな存在感。

「な、なんで?」

「は、はは」

二人の視線の先にあるのは、つい先ほど自分達の乗って来たエレベータ。重い重低音を響かせながら、太いケーブルが稼働しているのが、昔ながらの鉄柵越しによく見えた。

やがて、鉄柵の扉が左右に裂かれ、二つの影を吐き出した。

一人は、明るい水色の髪にサンドカラーのマフラーを目深に巻きつける女性(フィメール)アバター、街中で会って双子が食って掛かった―――正確にはあやされた―――プレイヤー。名前は確かシノンといったか。

そしてもう一人は――――

「よ、ユウキ……だよな、うん。お前もGGOに来てたのか」

馴れ馴れしく諸手を上げてこちらに笑顔を振りまいているのは。

その気配はまず間違いなく――――

「……ところで、レンの姿が見えないんだけどどこに……」

軽く周囲を見回したそのプレイヤーは、初めて唖然とするユウキの背後に隠れた位置に棒立ちになっている小さな者達に気づいたらしい。

あんぐりと口を開けたレンが思わずといった風に伸ばした人差し指は、奇しくも全く同じ動作で返されていた。

「「……だれ?」」

互いを指し合う女性のような男性アバター達――――レンとキリトは、唖然としてそう言った。
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