暁 〜小説投稿サイト〜
不可能男との約束
終わった話
[1/13]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話

「───武蔵を英国艦隊としてアルマダの海戦に提供する!」

武蔵アリアダスト学院副会長、本多・正純のこの一言によって会議は間違いなく止めを入れられた。
終始、こちらに妨害を入れていた前田・利家、否、この場合は傭兵王、ヴァレンシュタインですらそれ以上の価値を持った商品を提供することが出来なかった。
だが、それでも前田・利家は素の笑顔のまま武蔵に気になる一言を告げた。

「"花園(アヴァロン)"に行ったことがあるかい?」

花園

その言葉だけは知っている。
それは浜での焼肉の時、傷有りという名前しか知らなったメアリから教えられた言葉であった。
それも公主隠しについて問うた時に教えてもらった言葉である。
英国のメンバーがその言葉に反応するのを見届け、そして前田・利家はこちらの反応を見届け笑みを浮かべた。
特に感情を込めていない笑みを。

まだその程度しか知らないのか、と。

その嘲りに近い言葉と一緒に自分達を置いて行って去って行った───二境紋という更なる謎を置いて。
一難去って一難という諺があるが、生きている限り一難所か百難くらい簡単に来る気がする。特に武蔵にいていると、と正純は心の中で溜息を吐きながら仕方がないと思う。
ワーカーホリックの気があるのは自覚しているので前向きにやる事がたくさんあると思うのが吉だ。
極東人というのは元々、そんな気質だからな、と誰に対しての言い訳をしているのやら、と自分で自分に苦笑しながら会議の解散に身を委ねようとする。
まるでHRが終わったみたいに全員で会場から立ち去ろうとした時に声をかけられた。
私ではない名で。

「おい、熱田・シュウ」

呼びかけた人間は妖精女王であった。
呼びかけた人物や呼びかけた事自体よりもその呼び名に引き留められた本人以外と葵を除いて振り向いて怪訝な顔をする。
妖精女王は役職名ではなく個人の名で馬鹿を呼んだ。
それはつまり公的な話ではなく私的な話をするという意味なのだろうけど

……妖精女王と馬鹿が私的な話?

うちの二大馬鹿の一人と私的な話をする妖精女王の話題といえばという事件を解決するには情報が全くない。
他の面々を見ると自分と似たような表情を浮かべているのがほとんどだ。
浮かべていない馬鹿は録音や録画に走っている。
誰とは言わないが、よくもまぁ、そこまでやるな。ネタか? それとも金か? そうか両方か。
金になるなら私もやるべきか?
ともあれその言葉を聞いた当の本人は無視するどころかわざと耳を塞いでそのまま逃げようとしている。
流石の無礼さに浅間がちょっとっ、と苦言を入れようとするが珍しく熱田はそれを聞いても突っ切ろうとする。
他の誰かならともかく浅間の苦言すらも無視して妖精女王の言葉を聞き入れようとしない熱田に
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ