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ソードアート・オンライン 少年と贖罪の剣
第十二話:隕鉄の鞴『原初の炎』
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ゾー」

 そこにいたのは、両頬に特徴的なペイントのある小柄な女性だった。

「すまないな、アルゴ。手間を掛けさせた」

「いんや、オレっちはあんまし仕事してないヨ。礼ならディア坊に言いナ」

「…そうか。あいつも探し続けてくれていたのか。今度会いに行こう」

 鼠のアルゴ。腹黒アルゴ。通り名は幾らかあるが、彼女の本職はユメと同様、この世界の情報を集め、売り、時には無償で配布する情報屋だ。

「そーしてやれ。そんで、準備はできてるのカ?」

「とっくにできている。後は挑むのみだ」

「……やっぱしお前、ネロに似てるよなァ……いや、似たのカ」

 『ネロ』の名に、胸がチクリと痛んだ。
 今でも思い出せる。
 後ろで結わえられた鮮やかな金色の髪に、彼女の本質を表すが如き真紅のドレス。両の手には『原初の炎』の名を持つ捻れた剣。
 強い意志を宿した翡翠の瞳は、この世で見たどの宝石よりも輝いていて??????

 思い出に浸りそうになるのを、首を振って拒絶する。どうせこの後嫌でも思い出すことになるのだ。

「さてな。クエストを確保しておいてくれてありがとう。行ってくる」

「あア。お前なら平気だと思うケド、用心はしとけよナ」

「肝に銘じるよ」



† †



 『赤薔薇のコロッセオ』
 それが、オレが半年間追い求めていたクエストの名である。
 第四十九層にある中世のコロッセオに連続で出現するイベントボス三体を倒すというシンプルなクエストだ。

 しかしながら、そのシンプルな仕組みだからか、出現するイベントボスの強さはかなり上層のフロアボスにも匹敵する。また、開催される期間は半年に一日きり。非常に厳しい条件のクエストだ。

 そんなクエストを追い続けて半年程。何故オレがここまで執着するのか。それは、クエスト達成報酬の武器が欲しいからに他ならない。

 その武器の銘は【隕鉄の鞴『原初の炎(アエストゥス・エウトゥス)』】。
 両手剣カテゴリーに分類される、真紅の捻れた剣だ。


「……懐かしいな」

 感慨と共に、コロッセオの内部に足を踏み入れる。ここに来る前にソロだからと他のパーティのプレイヤーには奇異の目で見られたが、問題はない。
 上層のフロアボス程度ならば、一人で相手するのは容易だ。

 まだ『神の盾(アイギス)』が発足される前。オレが、後にアイギスのリーダーとなる『ネロ』と行動を共にしていた時に踏み締めた大地に、今度は一人で立つ。

 彼女(ネロ)の象徴とも言うべき赤き剣。それが隕鉄の鞴『原初の炎』だ。
 その剣を、今度はオレが手に入れるのだ。


「久しぶりだな、牛野郎」

 コロッセオの内部に足を踏み入れて、まず最初に現
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