第十二話:隕鉄の鞴『原初の炎』
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ないこと!いい!?」
「了解であります副団長殿」
当のユメはショックを受けたせいか先程からボス部屋の隅で正座して泣いている。まさかあそこまで傷つくとは思っていなかったから、なんだか申し訳ない気持ちになってくる。
「よ、美味しいとこ取っていきやがって」
「お前も奥の手隠してたんだな。二刀流とかカッコ良いじゃないか」
「お前の投影、だっけ? あれはなんていうか凄惨だよな。主にお前がだけど」
「ほっとけ。自傷覚悟なんだから問題はない。それより????」
右拳をキリトへ差し出す。その意図を理解したのか、彼も笑みを浮かべた。
「???ああ。無事、とは言えないけど第74層突破だな」
「……奴らの死を無駄にしない為にも、踏ん張らなきゃならないな」
コツン、と拳を突き合せる。
犠牲者が出たのは悔やまれることだが、今オレ達が生きている事の方が重要だ。
ともかく祝杯を。作戦なんて呼べたものではないが、第74層攻略作戦は、成功に終わったのだ。
† †
「ん……」
脳に直接響くアラームで目が覚める。今ではもうこの感覚に慣れてしまったが、この世界に閉じ込められた当初は違和感が中々拭えなくて不快感だらけだった。
やけに言うことを聞かない目蓋を無理やり持ち上げる。
「ぁふ……」
一番弱い照明に照らされた自分の部屋が目に映る。
以前まで寝る時も部屋の照明は付けっ放しだったが、あの死神との戦い以来、なんとか胸の内にあるトラウマと戦うようになってからは徐々に照明の光度を下げている。
「…そっか……そういえば昨日、レンと飲んで寝ちゃったんだ…」
僅かに覚醒した頭で、昨日の事が思い出される。
そうだ、確か『祝勝会』と銘打って自分はレンをホームに連れ込んで飲んだのだ。勿論、アルコールのような酔いの状態になるような飲料ではなく、普通のジュースでだが。この世界に於いて現実世界の法はあまり適応されないため、明らかに未成年のプレイヤーもアルコール飲料を飲むことはできるが、それでも頭に刻み込まれた現実世界の法律が中々薄れることはない。
「……ん…? レンと、一緒に……?」
しかし重要なのはそこではない。そうだ、確かに自分は昨日レンにからかわれた詫びとして一緒に飲むことに決定したのだ。そこはいい。なにしろ自分の意思で決めたことだ。後悔なんてないし、寧ろよく誘ったものだと数時間前の自分を褒めてやりたい。
だが。だがしかし。
「……こ、これは、どういう状況なのでしょうか………!」
どうも、悪ノリでアルゴに押し付けられたアルコール飲料の蓋を開けてからの記憶がない。
そして目覚めてみればこれだ。
「ぅ……ん…」
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