暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第二章 天空の大陸 アルビオン
アルビオン皇太子
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太子さまはそうしないの?」

 訴えるかのようにまくし立てるルイズ。架はそれを黙って聞いていたが、何か思い出すようにポツリと言葉を発した。


「・・・『魔法が使えるものを呼ぶんじゃない。』」
「え・・・?」

 それは土くれのフーケのゴーレムと対峙した時。決して敵わぬと分かっている相手にルイズは確かにこう言ったのであった。

「『敵に背中に見せないものを貴族と呼ぶ。』お前が教えてくれたことだぞ。彼らは生きることよりも最期まで貴族であることを選んだんだよ。」

 言い聞かせるように優しく言う架。しかし、今のルイズにはそれを正しく受け取れる心境ではなかった。

「・・・何が分かるってのよ。」
「え?」
「貴族でもないアンタに、何が分かるっていうのよ!!」

 だから思わず言ってしまった。キッと睨み付けるルイズと驚いた様子の架。暫くの沈黙の後、ルイズは突然駆け出してその場を去っていった。
 一人残された架は呆然とし、とりあえず相棒に話しかけた。

「・・・デル。」
「何だ?」
「俺、何かマズイこと言ったかな。」
「いや、お前さんは間違っちゃいねえだろうさ。けどよ、オメエも自分のこと、嬢ちゃんに全然話してねえだろ。ならさっきの言葉に関しては言われてもしょうがねえんじゃねえか?」
「そうか・・・そうだな。」

 デルフリンガーの的確ともいえる言葉に頷いた架は、困ったように頭を掻いた。

「・・・まいったなぁ。」








 翌日
 ルイズはベッドに蹲った状態で目を覚ました。昨日の夜、客室にあてられた部屋に駆け込んで、ベッドに倒れこむようにしてそのまま寝てしまったらしい。体中ギクシャクするし、頭もボンヤリとしている。最悪の寝起きだ。
 それでも隣にあの人がいないことに気付くと昨夜のことを思い出してまたベッドに顔を埋めた。
 何で、何であんなことを言ってしまったのだろう。その後悔だけがルイズの頭を彷徨っていた。

 コンコンッ

「ルイズ、いるかい?」
「・・・ワルド様?」





 部屋を訪ねたのはワルドであった。ワルドは最初、ルイズの様子に驚いたようだが、少し散歩をしようとルイズを連れ出した。

「ふうむ、彼とね・・・」
「はい・・・。」

 足取りと共にその声は暗い。ワルドはルイズの前に来ると励ますように両肩に手を置いた。

「彼もちゃんとルイズのことを想っているんだ。それを忘れてはいけないよ。ちゃんと謝ればきっと許してくれるさ。」
「は、はい。」

 若干ルイズが元気を取り戻すと、ワルドは「それで本題なんだけれど・・・」と続けた。

「ルイズ、私はウェールズ皇太子に結婚の媒酌をお願いしたいと思っている。」
「え・・・?」

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