暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第二章 天空の大陸 アルビオン
アルビオン皇太子
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亡命なさって下さい!」
「ルイズ。」

 架はルイズの肩に手を置いて声をかけた。ウェールズはその様子を見ながら尚も微笑んでいる。

「この手紙に、亡命などという言葉は一つも書かれていない。」
「そんな・・・!」
「ミス・ヴァリエール。大使が密書の内容を知ろうとするのは、謁見行為が過ぎるぞ。」
「けれど・・・!!」

 ルイズはなお食い下がろうとするが、ここでウェールズが話を打ち切った。

「明日には反乱軍が総力をあげてこの城に攻めてくる。朝には戦えない女子供や老人を逃がす船が出るから君たちはそれに乗って帰りなさい。」

 それと、とウェールズは優しく微笑みながら言う。

「今宵は最後の宴だ。是非君たちも参加してくれないか?」







「あんなことを言っていましたが、本当は書いてあったのではないですか?」
「・・・ははは、気づかれていたか。」

 夜、城の大広間で細やかながら喧騒が絶えない宴が催されていた。
 そんな中、架はウェールズに声をかけられた。月明かりの綺麗なテラスに二人は並んで立つ。酒を勧められたが、あちらの世界では未成年である架は丁重にお断りした。
 架の言う、書いてあったという内容とはアンリエッタの亡命の催促のことである。

「私が姫殿下とお話したのは僅かですが、あの人は大事な人をみすみす見捨てるような方ではありません。」
「・・・彼女は優しかったからね。それに考えていることがとても分かりやすい。」
「認めるのですか?姫殿下とのご関係を。」
「ああ、確かに私とアンリエッタは恋仲だ。」

 架の問いをウェールズはあっさり答えた。
 曰く、ウェールズとアンリエッタは従兄妹の関係であるそうだ。そして幼少の頃、始祖ブリミルの名において永遠の愛を誓っていたのだ。

「でも彼女はもう一国の王女だ。簡単に私情を交えてはいけない。」
「あなたが亡命なされば、争いがこれからも続く。そうなれば一番傷つくのは民である、違いますか?」
「驚いたよ、正解だ。君は王族か何かかい?」
「いいえ、ですがかつて王だった人が知り合いにいたもので。」
「ふ〜む、君は随分と訳ありのようだ。まあ、人間が使い魔という時点で十分訳ありだが。」
(古い文献に何かそれらしいことが書いてあったような気がするが・・・)

 思案にくれようとしたが止めた。詮索は野暮だ。今の彼らは客人なのだから。

「そういえば君の主人はどこへ行ったのだろうか?」
「先ほど出て行きましたよ。大方、空気に耐えられなくなったのでしょう。」

 広場にいる貴族たちは皆、明日の死を覚悟している。所々で「アルビオン万歳!」という喝采が起こっている。おそらくルイズは皆が当たり前のように死を受け入れていることや、それでも尚笑っ
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