暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第二章 天空の大陸 アルビオン
アルビオン皇太子
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「数々の無礼を詫びよう、大使殿。私がアルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ。」
「諸君、硫黄だ!」
賊の頭領の正体がウェールズ皇太子だったことにまだ驚きを隠せない面々は、船でニューカッスルの城まで案内された。と言っても、反乱軍に見つからないよう大陸の下からコソコソとだが。
城に着いてからは残された王宮派の人間がウェールズの帰りを待っていた。最初は部外者であるルイズたちを見て驚いていたが、ウェールズが事情を話すと皆喜んで歓迎してくれた。
「しかしまさか、一国の王子が盗賊に身をやつしているとは・・・。」
「ははは、敵の補給を途絶えさせるのは戦の基本さ。賊に成り済ました方が何かと都合がいい。」
自室に案内されている途中に呟いたワルドの言葉にもウェールズは笑って返した。常に明るさが絶えない男だ。こういう者が組織のトップに向いているのだろう。
やがて、一つの部屋に辿り付いた。至って普通の部屋だ。とても王子のものとは思えない。だが、ウェールズは意に介した様子もなく、「それで、密書の方は?」と催促してきた。
ルイズが差し出した手紙をウェールズは懐かしそうに読んでいた。
「そうか、アンリエッタは結婚するのか。・・・分かった、大切な手紙だが他ならぬアンリエッタが望んでいるんだ、喜んで手紙を渡そう。」
そう言ってウェールズは、引出しから箱を取り出し、鍵を開け中から一通の手紙を取り出した。
「これが件の手紙だ。確かに返却したぞ。」
「ありがとうございます。・・・その、皇太子さま。」
「何だね?」
差し出された手紙をルイズは丁寧に受け取った。それをしまいながら、ルイズはここに来てから気になっていたことを尋ねた。
「先ほど、皆が言っていたことなのですが・・・。」
「・・・ああ。」
ウェールズが皆に硫黄を届けた時だった。ウェールズの帰りと積み荷の中身を聞いた王宮派の貴族たちは歓喜に打ちひしがれたようにこう叫んだ。
“これで、名誉ある敗北を成し遂げることができる!!”と。
「あれは、一体・・・。」
「ふっ、聞いての通りだよ。わが軍の勢力は既に三百。対する反乱軍は五万。どう足掻いたって我々に勝ち目などない。」
「それは、皇太子さまも・・・。」
「勿論。私は真っ先に死ぬつもりさ。私はアルビオンの王子としてこの国を守る。例え代償が私自身の命であってもね。」
「けれど!それでは姫様は!」
「!」
ルイズは気付いていた。アンリエッタやウェールズの行動や表情から、間違いなく二人は恋仲であると。故に、ウェールズの死がどうしても納得できなかった。
「姫様は、きっと皇太子さまに亡命を勧めていたはず!どうか、どうか姫様のためにも、トリステインに
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