30決戦!セカンド
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
罪した愚かな神の僕共に私の研究を見せつけてやる」
バルパーはそう言うと、興味を無くしたように聖なる因子の結晶を放り投げた。
結晶はころころと転がり、木場の足元に行きつく。
木場は、屈み込んで、悲しそうに、愛しそうに、懐かしそうにその結晶を撫でる。
「……皆……」
木場のほほを涙が伝ったその時。
結晶が淡い光を放ち、校庭を包み込むように広がる。そして地面から、所々からポツポツと光が湧き、人の形をとる。
――これは、バルパーに殺された、被験者たちの魂だ。
「この戦場に漂う様々な力が因子の球体から魂を解き放ったのですね」
と、これは朱乃さん。
木場は彼らを見つめる。哀しそうな、懐かしそうな表情だ。
「皆! 僕は……僕はッ! ……ずっと、ずっと思っていたんだッ、僕が、僕だけが生きていいのか? って。僕よりも夢を、希望を持った子がいて、僕よりも生きたかった子がいた。僕だけが平和な生活をしていいのかって……」
『自分達のことはいい。君だけでもいきてくれ』
ヤマトが口走る
それが伝わったのか、木場の両眼から涙が溢れる。
魂の子供たちが一定のリズムで口をぱくぱくしだした。
「――聖歌」
アーシアがそう呟いた。そう、彼らは歌っている。唱っている。唄っている。
木場も涙を流しながら口ずさむ。
聖歌、かれらの生きるための希望。
『大丈夫』
ふいに、魂たちの声が聞こえる。
『僕らは、独りだけでは駄目だった――』
『私たち、一人一人では聖剣を扱える因子は足りなかった――』
『けれど、皆が集まれば、きっと大丈夫だよー――』
本来ならば悪魔が聖歌を聴けば、悪魔の俺たちは苦しむ。けれど、その苦しみを今は感じない。
『聖剣を受け入れよう――』
『怖くないよ――』
『たとえ、神がいなくとも――』
『神が見ていなくたって――』
『僕たちの心はいつだって――』
「『ひとつだ』」
かれらの魂が天に昇り、ひとつの大きな光となり木場に降り注ぐ。
『相棒』
分かってる。木場は至った。
この世界の流れに逆らうほどの力の変革。
『そう、それこそが――』
「『《禁
手
だ》』」
夜天を裂く光が木場を祝福しているかのように見えた。
続く
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ