第十八話
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の責任と覚悟を表して。
「だから、キミを追い越すためにも、私は頑張るよ」
私の主観だけど、ヘラクレスはあの日の事を引きずっていないと思う。死人に口なしと言うけれど、生前の彼の日ごろの行いと性格を考えると、やっぱり紳士的に笑って「クレア殿らしくないですな」とキザな言葉と共に流していると思う。
本人が気にしていなからって私も気にしない、という事はない。だけど、本人が気に病むなと言うならば、被害者の言葉を背負う責任が加害者の私にはある。ヘラクレスの葬式以来ずっと顔を出せなかったけれど、これで一つ一方的な仲直りをする事が出来た。
だったら、私は彼の分まで頑張らなくてはならない。彼の生を奪ってしまったなら、その分まで報いなければならない。
謝罪の贈り物は渡せない。贖罪で自殺するなんてもっての外。天寿までしっかり生きて、あの世で彼と顔を合わせたときに恥ずかしくないように、胸を張って語り合えるように研鑽することこそ、ヘラクレスに対する最大の詫びとなる。
「それじゃ、早速行ってくるね」
朝日に照らされる記念碑たちは、日光の熱に炙られながらも力強い輝きを放っていた。
◆
大親友にしっかりと折り合いを付けた分、心を覆っていた黒々とした靄はすっかり晴れた。その甲斐あってか大通りの活気も心地よいものに聞こえてきて、自然とダンジョンへ進む足が軽くなる。
予想していた通り、今日は《地中の帝王》襲来と撃退の日ということで平和祈念日とされており、幾分か一般人の姿も多く目に映る。私なんかの命日を祝うくらい暢気というか気ままというか、そんなオラリオは人々の明るい喧騒に彩られていく。
メインストリートを抜けて神殿のような威厳を醸し出すデザインのバベルを潜る。ヘラクレスの記念碑を後にする前にギルド本部に寄って集めた冒険者依頼をさらさらと軽く確認も兼ねて目を通しつつ《大穴》へ。
「《ウォーシャドウの鉤爪》に《炭素工具鋼》と《石炭》《薬草》……慣れたことだけど、なんだか物足りないなぁ……」
冒険者依頼を受けるとき、大掲示板に張り出されている羊皮紙を受付に持って行き、受注条件を満たしているかの審査を経て初めて契約成立する。受注条件の一番大きな項目は言わずもがな、冒険者としてのランクである。名目上無所属である私は高難度の冒険者依頼を受けることはできず、Lv.1の冒険者のために作られた冒険者依頼しか受けれない。
今では18層までソロで行けるようになったから実力的にはLv.2相当の冒険者依頼を受けれるけど、書類の上ではLv.1止まり。報酬目当てという訳じゃないけれど、やはりやり
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