第18話
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程はあれど朝廷に弓引いた罪人である」
『……』
「故に、ここ南皮において数年の強制労働、もしくは兵役が課せられる」
――食い物と寝床さえあれば……なぁ?
――むしろそのまま雇って欲しいだよ
――ワシ等に文句などある筈も無い
――んだ、本来なら死罪だで
袁紹から罰を聞かされても悲観するものは少なかった。食事と寝床を保障されるならむしろそのまま労働したい。そう考えるものが殆どである。
「……だが、我は他者の制止振り切り、ここまで来たお前達を賞賛する。――故に」
そこまで言って言葉を切った袁紹は、懐から扇子を出し前に構え――
「お主達の罪を恩赦する事にした!!」
パンッという音共に扇子を開き宣言した。
『……』
これに対して農民達は唖然とし――
――恩赦ってなんだ?
――さぁ?
――いいこのなのけ?
今まで聞いた事の無い言葉に首を傾げた。
「……」
その光景に袁紹は少し顔を赤くする。視線の端では風が笑いこけていた――
「……あー、お主達の罪を不問にするという事だ」
『……へ?』
「此処南皮において、住む家と当面の食料、職業を斡旋する用意もある。又、生活が安定するまでの間、税は発生しない」
『……』
袁紹の言葉を理解した農民達は一瞬沈黙し
『うおおおおおおおおおおおおおおお!!』
大地を揺らすほどの叫びを上げた。
………
……
…
「そして袁紹様は言っただよ、『お主達と行動を共にしていた黄巾達にも、この事実を伝えて欲しい』と、オラ達は恩返しを含めて此処に来ただよ」
「……その話しを信じろと?」
「んだ、短い間とは言え同じ釜の飯を食った仲でねぇか、先も言ったけど友を裏切るような真似はしねぇだよ」
「……」
「お頭……俺達……」
話を聞いていた他の黄巾の面々はすでに構えを解いている。それに彼等の意思が感じられた。
「どいつもこいつも……馬鹿野郎共が!!」
頭は武器を頭上に掲げ――
「か、頭ぁ!?」
「クソがっっ!!」
勢い良く地面に突き刺した。
「……その話しがもし罠だったら――」
「オラ達の首を差し出すだよ」
「……行くぞお前ら、南皮だ」
「っ! へい!!」
こうしたやり取りは各地で起こり、黄巾はおろか食糧難に苛まされた難民を交え、最終的に南皮には三十万を超える人間が集結し。それら全ては迎え入れられた。
………
……
…
この策は当然諸侯を駆け巡った。
「いくらなんでもやり過ぎだろ、麗覇ぁ……」
幽州で太守を務める赤毛の少女は頭を抱えながら呟き―
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