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恋姫†袁紹♂伝
第18話
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「寝るな!」

「おお!?」

お約束なやりとりをしながらも、風は前もって考えておいた策を袁紹に耳打ちする。
 自分達袁家を信用できないのであれば、信用させれば良い。簡単な話であった。


………
……



「お、お頭ぁ! 大変だぁ!」

「どうした!? 官軍の連中か?」

「それが……、以前いなくなった農民達が戻って来たんでさぁ!」

「っ!? ……そうか」

農民達が離脱してから数ヶ月、彼等が戻ってきたって事は――

「……何人生き残ってた?」

「そ、それどころじゃ……兎に角来てくだせぇ!」

「……?」

罠にかかって戻ってきたであろう農民達を、報告に来た男の顔に不の感情は見られない。
 ただただ顔を驚愕に染めているだけである。これには頭も不思議に思い天幕から出る。
 そして彼の眼に映ったのは――

「お、お前……等?」

「あ、お頭さん! 久しぶりだなぁ」

「お頭さん、罠なんて無かっただよ」

「んだ、オラ達がその証拠だべ」

「……」

血色が良く、活力に満ち溢れた農民達であった。良くみると少し丸く肥えている者までいる。

「……お前等こそが罠ってこともある」

「か、頭?」

「全員武器を構えろ! これこそが官軍の罠だ! 俺達を見知った奴等に誘き出させる気だ!!」

「そんな!?」

頭の動きに渋々といった形で抜刀する黄巾賊、そんな彼等の前に農民が一人歩み出た。

「……家族や友人を、罠なんかに掛けねぇだよ」

「家族? 友人だぁ?」

「んだ」

農民は南皮での出来事を語り始めた――

………
……


「武器の類は捨て去れ! 従わぬ者は切捨てる!!」

南皮に着いた彼等がまず耳にしたのはそんな言葉であった。他の農民達の姿も多く見られたが、正規の兵士達に囲まれて強気に出れるはずも無く、殆どが言われるままに武器を手放した。

――お、オラ達やっぱり罠に?

誰かがそう呟き不安が広がる。気が付けば広場に集まった農民達は袁家の兵士に囲まれていた。
 
――嫌だ……死にたくねぇ

――うぅ……おっかぁ

――最後に、腹いっぱい何かを食いたかったなぁ

――んだなぁ、でもこれで楽に……なんだべ?あれ

南皮の重々しい門がゆっくりと開き、中から多くの荷馬車が姿を現す。

――あ、あの荷馬車、湯気が出ているだ!

――じゃあ食い物なのか!?

――んだ、いい匂いがするだよ

――まさか……本当に?

やがて荷馬車が止まり、一人の兵士が農民達の前に出た。

「これより食事を支給する! 列を乱さず順番を守れ!! ――以上だ」

言葉が終わると、農民達は
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