第18話
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ぁ? うるせぇなぁ……」
「昨日合流した農民の連中が殆ど消えちまってる!」
「んだとぉっ!?」
頭と呼ばれた男は、粗末な天幕から荒れてて外に出る。周りを見渡すと確かに元農民達の姿が無かった。それどころか合流前より数が減っているような―――
「……手下達からも離脱した奴等が出たようで」
「……馬鹿な」
生活に困窮していたのは何も元農民達だけでは無かった。元賊として黄巾となった者達も、元々は食い扶持に困り身を落とした人間達だ。
藁にもすがる思いで賊になったのだ。どうして同じ理由で南皮に向かわないと言えるだろうか
「……追いますか?」
「いや、必要ねぇ」
兵の質に劣る黄巾にとって、数は唯一の武器だある。それが無くなる事を危惧して追いかける事を提案したが
「今回は官軍の奴等にまんまとやられた、だがこれで連中も目を覚ますだろうよ」
「罠に掛けられて……ですか?」
「ああ、それで運よく生き残った連中がまた合流する。官軍の非道さも相まって勢いが上がるってもんだ」
「……」
この罠は瞬く間に大陸全土に広まる。藁にすがる思いで遠い道のりをやって来た農民達を、無慈悲に虐殺したという結末で――
そこまで考えて、頭は農民達が使っていた野営地に目を向ける。
「馬鹿野郎共が……」
一見、悪態をついているだけに見えるが、その姿は悲壮感に包まれていた。何てことは無い。彼も元農民である。小さな村で畑を持っていた頃は妻が、子供が、沢山の友人がいた。
しかしいつしか凶作に見舞われ、少ない食事でやりくりをしていたが、ほとんど役人に徴収されてしまった。
異を唱えた友人達は帰らぬ人に、慈悲を乞うた妻は連れて行かれ、満足な食事が出来なくなった子供は息を引き取った。
「今更信じられるかよ……、役人なんて……」
………
……
…
所変わって南皮、袁紹とその頭脳たる桂花、風の両名が、策により集まった農民達を観察していた。
「思っていたより少ないな」
「……はい」
黄巾の乱において、その軍勢は五十万にも及ぶという知識を持っていた袁紹は、始めは少なく見積もっても十万は南皮に来ると考えていたが――
「多く見積もっても一万ですね。此処にいるのは」
桂花が並ばせた農民達を見ながらそう口にした。
「フフフ、この人数は風の予想通りでしたね〜」
官軍に対する不信感が根強いと踏んでいた風は、黄巾の中でも特に食い扶持に困った者達しか最初は集まらないとみていた。そして彼女の予想通り、眼前に集まった者達の殆どが、皮と骨だけと言う言葉が似合うほどに痩せこけていた。
「ええ、流石よ風、……想定していたからには策もあるのよね?」
「……ぐう
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