第18話
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た。看板に書かれた内容が如何なるものであろうと自分達は止まらない。そう確信して――
「頭、呼んだか?」
「おう、ちょいとここに書いてあることを読んでくれ」
「……簡単な字なら」
そして丁と呼ばれた男は看板に目を通す。その間緊張が走り、皆が沈黙したが
「どうせ怖気づいた官軍が、今更降伏勧告してきたんだろうぜ!」
「ちげぇねぇ!!」
『ハハハハハハハハ!!』
頭の一言で笑い声を上げる。元盗賊団を率いてきたこの男は、人心掌握長けていた。
皆の士気が維持できているのを確認した彼は、再び丁に目を向けたが
「あ、ありえねぇ……ありえねぇよ……」
「……おい、丁」
丁のただならない様子にまたもや場に緊張が走る。せっかく持ち直した士気を目に見えて下げられ、頭と呼ばれる男は声を荒げた。
「何て書いてあったんだ? 言ってみろ!!」
「……で、でも頭」
「いいから言え!!」
「ヒッ……わかった、この看板にはこう書かれてある」
良く聞かせるために丁は男達に振り返る。体全体を震わせ、冷や汗を垂らし、顔面は蒼白だ。
彼の状態だけで、ただならない内容だと言う事がわかる。果たして何が書かれているのだろうか数十万の大軍が討伐に向かってくるのか、一騎当千の兵達が立ち上がったのか、あるいは――― 考えたくも無い内容が男達の脳を駆け巡る。しかし丁の口から出たのは、想像の範疇を超えたことだった。
「『武器を捨て、罪を認め、悔い改める覚悟のある者は南皮を目指せ、その地において保護する準備有り』」
「――は?」
その内容に頭が真っ白になる。そして一瞬にして騒然としだした。
――ほ、保護ってどういうことだ?
――そりゃあ……食い物に寝床だべ
――飯が食えるのか!?
――南皮っいえぁ、善政で有名な袁紹様のとこだぁ
――お、オラも聞いたことあるだ!
袁紹の善政は、規制緩和により南皮に訪れた行商人達、その他情報操作により各地に広まっていた。その情報は人から人へ、瞬く間に大陸全土へと袁家の名を轟かせていた。
言うまでもないが袁家の名は有名である。しかしその名が通用するのは役人などであり、
都市部は兎も角、近隣の小さな村などには無縁である。
『名を知っていても善政を知らねば意味は無い』そう思った袁紹は南皮に訪れる行商人達を奨励した。物を高く買い取り、安く売り、袁紹の人柄や善政も相まって彼等は次々に賞賛しだした。
後は放っておいても勝手に評判を広めてくれる。対黄巾の策の為に流布させたのだ。
「落ち着けお前等!」
『っ!?』
「これは官軍の罠だ! 俺達をおびき出して一網打尽にしようって寸法だ」
「……そ、そうだよな」
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