一匹目《発現》
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、私は隆文お兄ちゃんと帰りたい。お話ししてお家帰ろう? 】
「そう? じゃ〜帰ろうか? 」
「うっ、ひぐっ……あ、あんた……何なの? どうしてこんな事……うっ、うっ……出来るのよ!? あんた……気持ち悪いわ…………」
「…………」
「こっち見ないで……さっさと帰りなさいよ……化け物」
「っ!? 」
「アリサちゃん!? そんな事言ったら……蟲黒……君? 」
化け物……それは隆文が初めて人から言われた言葉。隆文は流石に傷ついた。だから当然、隆文は涙を流す。泣いている。何故ならそれは今までどんなに無視されても何を言われても時にどうも思わなかった隆文に初めて心に深く突き刺さった言葉だったのだ。
そんな隆文を見て流石に言い過ぎたと自覚したアリサは申し訳なく目を逸らす。だが謝ろうとはしなかった。いや、とっさの事で出来なかったのだ。隆文はアリサが声をかけようと思った瞬間走り出し教室を出たからだ。
【隆文お兄ちゃん!? そんなに走ったら落ちる!? 落ちちゃうよ!? 】
全速力で走る隆文の手の甲に必死でしがみついているゴキブリの花は風の抵抗で落ちそうになっていた。隆文もそう言われて初めて気が付いたのか通学路の途中で一旦足を止める。息を切らせ、手に乗った花を自分と同じ目線に合わせ、悲痛な思いを吐き出した。
「僕は……何か悪い事したの? ただ花ちゃん達とお話しが出来るってだけで……うっ……ひぐっ……どうして…………」
【ごめん隆文お兄ちゃん……私達がいるからいけないんだよね? 】
「違う!? どうして? 花ちゃん達は何かしたの? してないよ! ただ生きているだけだ!? 僕達と何も変わらない!? 悪い事した訳じゃないのに……どうして……どうして!? 」
【隆文お兄ちゃんは優しいね? でもね? みんながみんな……隆文お兄ちゃんみたいに思えるわけじゃないんだよ? だって……私達とお話し出来るの隆文お兄ちゃんだけだから。だから……仕方のない事なんだよ。けど私達は満足だから。隆文お兄ちゃんが私達にしてくれる事だけでも十分幸せだよ】
隆文もG達も悪い事は何もしていない。だが世間という奴は残酷にもイメージで迫害してしまっている。だが基本的な問題として人々がG達を隆文のように受け入れる事は難しい。どちらが多数派と言われれば圧倒的に、比べる事もなく隆文が少数派だ。一体誰が汚いイメージのG達を受け入れると言うのか、一体誰が菌の運び屋と称されるGを受け入れると言うのか。故に隆文は孤独である。誰にも受け入れて貰えず、君悪がられ、しまいには嫌われる。こんなどうしようもなく理不尽な事があるだろうか。
「ありがとう花ちゃん。少し元気出たよ。だから早く帰ろうか? 多分今頃ゴキ兄が母さんに追いかけ回されてる頃だと思うから」
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