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無能騎士の英雄譚
五話
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「…………ん、っ」

じんわりと白い光が視界に滲み、ステラが目を覚ます

「目覚めた?」

ステラが横たわるベットの側に座り、本を読んでいる神がいた

「……此処は?」

「お前の部屋、医務室に行く必要がないから運んできた」

そう言いながらもページをめくる手を止めない

(……いや、話するのか読むのかどっちかにしなさいよ)

しかし注意する気力はステラには無い

「……あんたに負けたのね……」

その事実を認識して気分が重くなる

自分が負けた

それも、言い訳もつかないほど

「……」

其を見た神は本を閉じ、ステラに向く

「ステラ・ヴァーミリオン……お前が俺に勝てた強さは"圧倒的なパワー"だ……」

「……へ?」

神の言葉に耳を傾ける

「それもクロスレンジ……接近戦に特価した……ね」

「? 其が何よ?」

「"天壌焼き焦がす竜王の焔(カルサルティオ・サラマンドラ)"……あの技は君の強さを壊している」

神の言葉に目を見開くステラ

「……どういう事?」

「そのままの意味だ……何故その圧倒的なパワーがあるのにゼロ距離から放たなかった?」

「……あっ……」

「距離を離していたら、そのパワーはプラスする事が無く、加工していない魔力の刃を振るうだけ……だから圧縮した魔力の刃に簡単に斬られた……」

「……良く見てるわね、其にそんな事を平気でやってのけるなんて……」

ステラは本当に感心した、神のその観察力、そして其を平気でやってのける胆力に……

「……やってのけなきゃ生きていけなかったんだよ……」

そう言いながら遠くを見る神……

「……な、何があったの……?」

……今言っても問題ないよね?
ステラが聞きたいなら構わないだろう……

「……信じられないだろうけどさ……聞く?












……異世界の少年との出会いを……」

●○●○

「……異世界?」

ステラは目を点にしながら聞く

「うん…異世界、そこに住んでいる人がさ…何でかこの世界に来たんだ、三人も」

その三人は其々別々の世界から来ていた

一つは、精霊と契約し剣舞を行い、奉納し、暮らしを支え合う世界(通称:ブレイドダンス)

もう1つは、魔法と科学が融合し、更に其処に天力と呼ばれる力が加わり、新たな可能性が生まれた世界…(通称:リリカル)

そしてもう1つは、魔導師が1つの仕事として様々な以来を請け負う世界(通称:アースランド)

それらから何故か一人ずつ来てしまったのだ

「そういった異世界からの遭難者を"次元漂流者"っていうらしい」

「"次元漂流者"……」


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