本編
第零話
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ル」
自身が両親の祝福と共に与えられたら名前、そして公爵家という大貴族としての誇りとして家名を誰に恥じるともなく高らかに唱える。
「5つの力を司るペンタゴン」
そう、この呪文は5つの力によるものなのだ、火でも水でも風でも土でもなく、虚無でもない。全てを内包したペンタゴンなのだ。故にまだ見えぬルイズの虚無を持ってして正しく発動する数少ない魔法なのだ。
「我の運命に従いし、使い魔を召還せよ!」
その声は魔法が使えなくとも決して折れることのない『不屈』の心を体現するかのように、ハルケギニアから遠く遠く次元の壁すらも挟んだ遥か遠くの世界の先までも果てしなく届く。
そして扉は開いた。鏡のような光沢を持ちながら何故か自身の姿は映らない不思議な平面がルイズの前には現れていた。
ルイズは目の前に現れた鏡のようなものに一瞬呆気にとられたあと、自分が魔法を成功させた事実に気づき飛び上がって喜びそうになった。しかし、自分が唱えた魔法が使い魔となる生物を召還する『サモンサーヴァント』であったことに思い至り、一度冷静になる。
サモンサーヴァントによって呼び出される生物はある程度はメイジ自身の属性により左右されるが基本的には完全にランダムだ。なのでドラゴンなどの危険な生物が現れる可能性もあるので、出てきた生物に契約の証として『コントラクトサーヴァント』をするまでは油断してはならないのだ。
ルイズはどんな生物が出てこようと絶対にコントラクトサーヴァントを成功させてやるつもりだった。そしてその使い魔を見せて両親を安心させてやり、自分の属性を詳しく調べ、それからそれから、と次々に未来の輝かしい光景を想像していたが、しばらく待っても何も出てこないのでその結論に至ってしまった。もしルイズが一人でこっそりと魔法の練習などせずに誰かの監視の元で行っていたならそのようなことにはならなかっただろう。
「これは、きっとこっちから迎えにいくのね!」
そういって本来であれば向こうから何かが出てくる筈だったその鏡のようなものに飛び込んでしまった。もしルイズに正しい知識があり、誰かの監督の元での行いであればその行為を必ず止めただろう。しかしこっそりと魔法を成功させて両親を驚かしてやろうと無邪気な考えを持っていたルイズはその中途半端な聡明さと、幼さが仇となった。
そしてその日、ヴァリエール公爵家から、トリステインから、ハルケギニアから、ルイズは消えてしまった。
そして本来、その扉を潜る筈だった幼い少年は遊び疲れてお昼寝の真っ最中であり、目の前の鏡のようなものの存在に気がつかないまま鏡は消えてしまった。
そして、逆流してしまったその扉はエラーを起こし、大幅に座標が狂ってしまった。その座標とはある組織からこう呼ばれている場所であった。
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