R.O.M -数字喰い虫- 4/4
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しかし、極論を言えばそれは私にとってはどうでもいい話だった。
「いや、そんなの私知らないし。お腹減ったし。栄養足りてないし。でも私この家の何所にご飯あるか知らない上に料理の仕方も忘れちゃったのか思い出せないし。何より一人で食べると退屈でつまんないじゃん」
「美咲ちゃん、元々自炊なんて出来なかった……」
「ならばなおさら!!」
今から私が女王様だ。私の我儘を叶えるのがあなたの役目だ。今、心の中で勝手にそう決めた。
春歌は戸惑っていた。まるで今までの一連の出来事などなかったかのようにあっけらかんとしている目の前の少女は、自分が『殺してしまった』あの親友と余りにも似すぎている。このやり取りというか、態度に、春歌は強い既視感を覚えた。
そして、はたと気づいた。もしかして、この人は記憶がなくなろうが「変わっていない」のではないか――?
確かに記憶は消えてしまったかもしれない。でも、このお気楽思考は――そう考えた春歌は、涙を拭って、必死に過去の思い出を掘り返した。
「……私なんかと一緒にいたって、美咲ちゃんもつまらないと思うよ」
『……私なんかと一緒にいたって、美咲ちゃんもつまらないと思うよ』
かつて、あの教室で美咲にかけた素っ気ない言葉。
もし、もしも。彼女の人格が消えても、彼女という存在が本質的に変わっていないなら――彼女は、自信満々にこう言うはずだ。
『詰まらなかったらその時はその時!』
「詰まらなかったらその時はその時!」
ああ――記憶を無くした癖に、この悪友はちっともその図々しい性格を改める気がないらしい。本当に、とことん変わる気がないらしい。つまり、『死んでも治らない』という奴なのかもしれない。
もう、笑うしかない。もう笑い飛ばしてしまうしかなかった。
「ぷっ………あはっ、あはははははっ!!あははははははははっ!!」
「むう、そんなに笑われるとそこはかとなく小馬鹿にされた気もするけど……やっと笑ってくれたね!」
にかっ、と屈託のない笑みを浮かべる痩せこけた親友の顔は――もう一度親友になり直さなければいけないけど――私の知る、大好きなあの笑顔だった。
= =
運命とはかくも数奇なものなのか。
一度絡んだ運命の糸というものは、周囲さえも巻き込んで一本に交わってゆく。
「――本当にいいのかい?俺達は別に、君にこんな形での償いを求めた訳じゃないんだぞ?」
「いいんです。美咲ちゃんもすっかり良くなったし、全部正直に話しました。美咲ちゃんったら、覚えてないこと謝るの禁止だー!って叫んで……もう心残りもありません」
「いつ終わるかもしれない厄介な道だぞ。場合によっては高校中退して貰う事になるぞ。美咲ちゃ
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