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離れ小島
4部分:第四章
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「そのことが問題なのだ」
「そうですか」
「結論はだ」
 司令は悪意のある顔に戻って言い切ってきた。
「日本人には衛生観念がない」
「そうですね。確かに」
「だから死んだのだ。仕方のない話だ」
「では死んだ者達は」
「事故だ」
 一言だった。
「残念な事故だった」
「ではそれで処理しますので」
「そういうことでな。いいな」
「わかりました」 
 こうして話は事故で終わったのだった。書類や歴史に残る事実はこれで終わった。しかし他の事実ではだ。それは違っていた。
 収容所から出た将校はだ。日本に帰る船の中で一人呟くのだった。
「勝者は何をしても許されるか」
 離れていくその国を見ながらの言葉だった。
「それが事実なら。正義とは何だろうな」
 このことを思わざるを得なかった。戦友達が眠るその国を見ながら日本に向かうのだった。彼等が帰りたかったその祖国にだ。『事故』で死んだ彼等のことは忘れられなかったのだった。


離れ小島   完


              2010・10・28

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