第三十四話
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最後の仕上げと言った所だったのだろう。
きれいに盛り付けられた夕飯の数々をテーブルに飾り付けられていく。
「あの、手伝います!」
「ふふ、ありがとう」
私はすぐにゆかりお母さんを手伝うためにキッチンへと向かった。
椅子を引き、食卓に着く。
「いただきます」
そう言って私たちは夕食を開始する。
いつもより人数が少なく、ちょっぴり寂しさが感じられる夕食。
しかし、その美味しさだけは変わらない。
「久遠ちゃん、ちゃんとお揚げ以外も食べなさいね」
「くぅん」
ゆかりお母さんがお揚げばかり食べている久遠を注意する。
お揚げは美味しいかもしれないけれどそれだけじゃ確かに健康には悪いからね。
久遠を注意してからゆかりお母さんは、さて、と居住まいを正して私の方へ向きなおる。
「フェイトちゃん、今日ジュエルシードを集めに出てたわね」
「あの!それはっ…」
言葉に詰まってしまう。
そんなに時間をかけた訳じゃないし、ゆかりお母さんが見ていないうちにそっと出かけたはずなのに。
どうして分ったのだろうか。
いや、今はそんな事よりも。
「あ、あたしが無理やりフェイトを連れ出したんだよ!どうしてもジュエルシードがほしかったのさ」
アルフは悪くない、なのに私を庇おうとしてくれている。
ダメだ、それだけはダメ。
「アルフ…ううん。私が言った事なの。私がアルフに頼んで付いて来てもらったんだ。だから…」
「私は別に二人を責めている訳では無いわ」
「え?」
「でも私に黙って二人で危険な事をしてきた事は怒ってはいます!」
「ごめんなさい…」
「凄く心配したんだからね」
そう言ったゆかりお母さんは立ち上がって私のほうへと歩いてくると私を後ろから包み込んだ。
ゆかりお母さんのふわっとした匂いが鼻腔をくすぐる。
「ごめんなさい」
私は小さくもう一度謝った。
その後私はお叱りと言う名の抱擁を解かれると、これからはゆかりお母さんと久遠も一緒にジュエルシードを捜しに行く事になった。
決して二人だけで行ってはダメだと念を押された。
家族の心配するのは家族の特権だって。
家族。
私にはまだよく実感が持てない言葉だけど、本気で私のことを心配してくれている事が分って私はとても嬉しくて、嬉しいのにどうしてか涙が止まらなかった。
◇
俺達がアースラに来てから10日、アレからイタチとのニアミスが続いている。
ジュエルシードの発動が感知されると現れるイタチの化け物、しかし先に俺達が到着すると、その気配を察してか直ぐにサーチの及ばないところまで転移する。
しかし、その移動速度は
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