暁 〜小説投稿サイト〜
101番目の舶ィ語
第三部。終わる日常
第一章。赤マントのロア
第一話。雷雨の中の襲撃者
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之江らしい。
そんな事を考えていたその時だった。

「ん?」

不意に窓の外がキラッと光った気がした。
直後。


ゴロゴロドシャーン!


雷が近くに落ちたらしく、教室が騒然とした。

「いがいと近くに落ちたなぁ」

窓の外を見て呟く。
バラバラ! と窓ガラスを雨が打ち付ける音が響き、授業は一時中断された。
教師がカーテンを閉めるように促すと、窓際の生徒はしっかりとカーテンを閉じでいく。
そんな光景を眺めていると。

「……ふむ」

今の音で起きたらしい一之江が深刻そうな声を背後で零した。

「どうかしたのか?」

「何かあったようです」

「何か?」

俺に返事するよりも先に、一之江はガタッと席を立った。
そして。

「すみません、病弱な私は天候不良すらも影響を受ける薄幸の美少女なので、保健室に向かいます。ついでに言うと、フラフラなので目の前にいる不埒な男を連れていきます」

俺の首根っこを掴みながらそんな事を言いやがった。

「不埒ってお前!」

「事実でしょう?」

一之江に襲われた時にしでかした事やあっちの俺がやらかした事を思い出してしまう。

「……否定できないな」

そんな俺達のやり取りに、クラスメイト達がクスクス笑う。

「では一文字君。一之江さんに不埒なことはしないで、保健室へ連れて行きなさい」

「真面目に授業を受けていた生徒に対して酷い仕打ちですね??」

担任の安藤先生にツッコミを入れると、さらにクラスメイト達が大笑いしてクラスの雰囲気は和やかになった。
チキショウ、雷への不安を払拭する為に上手く使いやがったな。
この美人教師め。
教師にまで不埒と思われていたなんて。
さすがは不運に定評のある遠山金次。
いや、今は一文字疾風だが。

「では保健室へ行ってきます」

一之江はぺこりと頭を下げると、俺を引っ張ったまま廊下に出たのだった。

2010年6月18日。午前10時35分。



「どうしたんだよ、突然」

一之江が歩く先は、どう考えても保健室がある方向ではなかった。

「Dフォンに、キリカさんから連絡が」

懐からDフォンを取り出して俺に見せてきた。
そのDフォンは仄かに赤く光っている。

「キリカから?」

「一言、『気をつけて』と」

気をつけて?
その表示を見せてもらうと、本当にそれしか書かれていなかった。
キリカにしては内容が単刀直入過ぎるメールだな。
しかも、普通の携帯ではなく、わざわざDフォンに送る辺り緊急性を感じる。

「キリカさんがこうして送ってくるからには対応速度が求められるかと」

「対応速度が求められる事態っていうと」

「それはも
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