第五十三話 山師その四
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「この場所に屋敷があった」
「わかった、ここじゃな」
「そうだ、しかし」
「場所を移してるやもか」
「そう思うが」
「いや、それはないのう」
博士は伯爵が場所を変えた可能性は否定した。
「あの伯爵でもな」
「それはないか」
「うむ、おるのはな」
「ここか」
「それは間違いない」
「流石に屋敷まで移動させられないか」
「あの伯爵の魔術等なら出来るが」
しかし、というのだ。
「屋敷ごと他の、遠くの場所に移動させるとなると」
「相当な力を使うからか」
「流石にそれはない」
幾ら何でもというのだ。
「その分怪人を造る方に力を注いておる」
「では怪人を造る場所もか」
「あの屋敷にあるのう」
博士はこのことは予想して言った。
「おそらくじゃが」
「そうか、ではな」
「伯爵の幻術を防いでじゃ」
そして、というのだ。
「それからじゃ」
「そうなるか」
「うむ、しかしな」
「俺がやることはだな」
「これで終わりじゃ」
「そうか」
「君の戦いはもう終わっておる」
博士の声がここで優しいものになった。
「既にな」
「だからか」
「君が戦うことはない」
「既に戦っているがな」
「しかしじゃ。もういい」
彼が戦うこと、それ自体がというのだ。
「君は休んでくれ」
「そうか、ではな」
「後はあの娘達じゃが」
「あの娘達はやってくれるか」
「うむ、あの娘達も強い」
彼を見てだ、博士は表情も優しいものにさせていた。
そしてだ、こうも言ったのだった。
「必ず。自分達の運命のしがらみを断ち切る」
「自分達自身でじゃな」
「君がそうした様にな」
こう彼に言ってだ、それからだった。
博士はあらためてだ、周囲の面々に言った。
「何はともあれあの伯爵の居場所もわかった」
「そこが何処かをだね」
「あの娘達に教えてあげるんだね」
「そうする」
まさにというのだ。
「これからな。あとな」
「あと?」
「あとっていうと?」
「おそらくじゃがもうな」
博士は何かを察している顔になった、その顔で遠くを見つつそうしてだった。周りの面々にこうしたことも言った。
「もう一人の伯爵はあの娘達の前に来ておるのう」
「サン=ジェルマン伯爵は」
「もうなの」
「うむ、あくまでわしの予想じゃが」
そうではないかというのだ。
「そしてあの娘達は多くのことを知ったわ」
「何かね」
「ここで急にだね」
「話が動いてるね」
「そうだよね」
「うむ、しかし思うことがある」
博士は今度は深く考える顔になっていた。
そしてだ、その顔でさらに言ったのだった。
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