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力が正義
3部分:第三章
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第三章

 今まさに掴み合いにならんとする。だがここでだった。
 裁判官が二人に言ってきたのだった。
「静粛に」
「むっ?」
「何だよ、裁判官さんよ」
「こうなってはあれで決めましょう」
 これが裁判官の主張だった。
「宜しいでしょうか」
「ああ、わかったぜ」
「それじゃあな」
 それを聞いてだった。二人も頷くのだった。
 そしてだ。お互いまた睨み合って言い合う。
「それでいいな」
「そっちもな」
 こうしてだった。彼等は一旦外に出てだった。裁判官も同じだ。そして見ている者達も雇い人達も一緒に外に出る。そのうえでだった。
 そのうえで銃を出してだ。その用意をするのだった。
「ったくよ、さっさと認めればいいのによ」
「手前こそな」
 言いながらだった。その銃に弾を込めていく。
 そしてだった。お互いに間合いを開ける。それからであった。
 狙いを定めてだ。二つの引き金が引かれた。
 銃の音がしてだった。それで決まった。
「くっ・・・・・・」
「これで決まりだな」
 クロケットが右肩から血を流しそこを左手で押さえる。シーンは無傷だった。
「俺が正しいな」
「そうですね」
 裁判官はシーンのその言葉に頷いた。
「それでは。このことに関してはシーン弁護士側が正しいとなりました」
「よし」
 シーンはそれを聞いて頷いた。
「これでいいな。おい」
「ああ」
「勝ったぜ」
 雇い主の緑の目の男の言葉に顔を向けて言ったのだった。
「この通りな。報酬は頼んだぜ」
「ああ、わかってるさ」
 緑の目の男もにやりと笑って応える。
「じゃあ金は弾むからな」
「要は勝てばいいんだよ」
 シーンの言葉は今度はこうしたものだった。
「裁判ってのはな」
「ちっ、しくじったぜ」
 ここでだった。苦い顔で言うもう一方の弁護士クロケットだった。彼はまだその右肩に左手を当てている。そうして歯噛みして言うのだった。
「今度は銃の腕上げておくからな」
「そうだよ、そうしてくれないと頼むぜ」
 赤鼻の男もそれを彼に言う。
「俺はお陰で損したんだからな」
「済まねえな、お詫びにバーボン奢るぜ」
「ああ、それじゃあな」
「ではこの裁判は終わりですね」
 裁判長の言葉は事務的ですらある。
「それではこれで」
「よし、話は終わったな」
「じゃあ仕事に戻るか」
「そうするか」
 こう話してだった。見ていた者達も去っていく。裁判はこれで終わった。
 これが建国当時のアメリカの裁判だった。決闘で話を決めることも常だった。七代大統領ジャクソンも裁判官だったが彼も決闘で話を決めることがあった。当時のアメリカはそうした国だったのだ。正義も法も力に基づくもの、そうした時代であった。それが正しいかどうかはこの当時
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