ターン27 鉄砲水ともう1つの『真紅』(前)
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!」
「おーう。なあ万丈目、アイツなんであんなに急いでんだ?」
「万丈目さん、だ。あとそんなこと俺に聞くな、本人に聞けばいいだろう」
「……清明君、もう行っちゃったっスよ」
そんな会話がうっすいうちの安物ドアの向こうから聞こえたけど、いちいち戻るようなことはしなかった。こっちもそれなりに忙しいのだ。そのまましばらく走ったところで、一度声をかける。
「チャクチャルさんチャクチャルさん、どっから行けばいいかな?」
『まず結論から言うが、案の定あの地図はブラフだ。そこで考えてみろ、島のこちら半分で重要そうな場所と言えば?』
そんなこと急に言われても困る。えっと、大浴場……は向こう半分だし、港はちょうど中心あたりだし、そうだ、稲石さんの廃寮があった。そのほかに施設……あ、待てよ。廃寮といえば、確かあそこの地下にはアムナエルの錬金術の部屋があって、アムナエルといえば………
「も、もしかして三幻魔?」
『可能性は高いな』
仮にもあの三幻魔が大人しく言うことを聞くとは思えないけど、少なくとも光の結社の手に三沢が手に入れたウリアのカードがあることは間違いない。とすれば、他の2枚を自分のものにしようとしてもおかしくない、ってことか。冗談じゃない、あんな凄まじい力を持った奴らを、まだ1年もたってないのにまた解放するだなんて。せめてあと半年ぐらいはインターバルおいてほしいもんだ。
『どうする?あそこの封印もなかなか固いものだったはずだが』
「もちろん行くよ!少しでも早いうちに止めないと」
『了解した。場所は覚えて………ほう、これはこれは驚いた』
「え?」
さっきとは一転、急にチャクチャルさんの声の調子が変わる。いつも聞きなれた親しみのあるものから、『地縛神』としての不思議なプレッシャー溢れる声に。
『前言撤回だ、マスター。まさか向こうから来てくれるとはな』
「え?」
「あはは〜、ばれちゃったー?でもしょうがないよね、僕悪くないもーん。下手に勘付かなけりゃ今頃こっちも誰にも迷惑かけずに仕事終われたんだからさー。だったらせめて、時間つぶしぐらいはしないとねー」
へらへらと笑いながら近づいてくるその金髪の男。年は僕と同じくらいに見えるけど、この学校では見たことない顔だし、こんな若いプロがいるのならいくらエドがいるといってもニュースにはなるだろう。
というか、チャクチャルさんのことを認識できて、しかもあの口ぶりからいって前から知っているというだけで怪しすぎるし。
「お初にお目にかかりまして……かなー、そっちの君、遊野清明だっけ?君そのものとはね。魂だけなら前に一回会ったんだけど、それもずいぶん昔の話だねー。それにしてもそっちの地縛神、つれないなー。なんでお前が生きてるんだー、とかさ、そういう感じ
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