ターン27 鉄砲水ともう1つの『真紅』(前)
[3/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
はずだ。僕を呼んでくれたのも、いわば練習台になったことに対するお礼といったたぐいのものだろう。
「じゃあ、この地図はブラフで本当は別の場所でやるってこと?野次馬を別の場所に引きつければ、その分落ち着いてデュエルできるし」
『いや、その線もないだろうな』
1つひらめいたことを言ってみるが、あっさり両断される。
「なんで?」
『マスターの個人的な話にあまり立ち入るのも気が引けたが、つい聞こえたから言わせてもらおう。あの吹雪という男、マスターに見に来いと言ったのだろう?正確な場所も教えていないのに偽の情報をばらまいていてはマスターがたどり着けないではないか』
な、なるほど。何から何まで筋が通っている。となると、この紙は一体誰が何のために?
「考えてわかるわけもなし、とりあえず見に行ってみようか、ここ」
『……この点は考えが分かれるかもしれないが、今はやめておいた方がいい。そもそも考えられることは2つあるが、まず1つは何らかの目的があって明日この場所に人を集めたい何者かがいる、ということだ』
「なら、今のうちに行けばその企みがわかるかもしんないんじゃ?」
『まあ聞け。もう1つの可能性は、この場所に人を集めることで、他の場所から人目をなくす。つまり目的はこの場所に人を集めることではなくて、まったく別の場所で安全に何かを行うこと。この場合たとえこの場所に行ってみたとしても、何も見つかるわけがない。マスターに見に来いと言った以上、少なくともあの男ではない何者かがな』
「どっちもあり得そうなもんだし、やっぱり今から見に行く分には問題ないんじゃ?」
『だから、ここは考えが分かれるといったんだ。恐らく後者だろうというのは、私の勘でしかない。それに夜間に独りで出歩くのは今の時期は推奨しないし、明日になって日が昇ってから何かしらの可能性を探せばいい。とりあえずマスターは少し休んでいてくれ、後は私が軽く当たってみる』
少しの間、チャクチャルさんに言われたことを噛み砕いてみる。
……ま、明日でいっか。今日はいろんなことが起きすぎていい加減疲れたし。
「明日のおべんと作ったら色々探ってみるから、みんなもそのつもりでね。おやすみー」
もぞもぞと呟いてから、布団に潜り込む。意識が消えるのはあっという間だった。
「よし、復活。おはよー、みんな」
すっきりと目覚めてデッキに声をかけ、顔を洗い、投網を打ち、畑に水をやり、ご飯を炊いたり味噌汁を作っているうちにすっかり日が昇ってしまった。まあ、これもいつものことだ。その後でまだ寝ている十代たちをたたき起こして朝ご飯を食べ、早速出発の準備に取り掛かる。
「悪いけど先に行ってるからねー。みんなのおべんとは台所に置いてあるから、あと適当にやっといて
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ