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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン27 鉄砲水ともう1つの『真紅』(前)
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 ヘルカイザー、最初の対戦相手を天上院吹雪と宣言!
 
 僕が吹雪さんとデュエルしてからものの数時間のうちに、この知らせはアカデミア中を駆け巡った。どうも吹雪さんがどうやったのか、本当にどうやったのかさっぱりわからないがカイザーがやってくる前に先手を打って確実に彼と勝負できる状況を作り出したらしい。いい加減何やっても驚かないぞと毎回思ってるのに、いつもあの人は僕らの想像を超えてくる。

「なにせ、こんなもんまで用意してんだから」

 そう言いつつ、手元の紙を持ち上げる。そこには明日の日付と、とある一点に赤い丸が付けられたアカデミアの地図。そして上に挙げたアオリ文。

「さすがは師匠だな。することなすことスケールが違う」

 万丈目はそう言って感心している。感心する方もされる方もどこか少し異常な気もするけど、その意見にも一理あると思うあたり僕も少しずれているのかもしれない。

「明日は絶対見に行こうぜ、多分学校中のデュエリストが集まるぜ」

 十代にいたってはもうすっかり乗り気で、ピクニック気分なのか知らんがさっきは明日の弁当は外で立ち見でも困らないやつを作ってくれなどと言ってきた。もちろん僕も見に行くつもりだし、明日の弁当はおにぎりないしサンドイッチにする気だけど。

「お兄さん……一体どうしちゃったんだろう………」

 僕らが自分たちのことで手いっぱいだった間も、翔は肉親ということもあってカイザーの動向については調べていて、ヘルカイザーのこともだいぶ前から知っていたらしい。ただこちらも色々あったせいで言い出すタイミングが掴めず、結局黙ったままなんだとか。友達なんだから次からちゃんと相談するように、と釘はさしておいたけど、翔の性格からいって本当にそうしてくれるかどうかは不安だ。

「まあ、カイザーだってきっと何か考えがあるはずだぜ。明日島に来るんだ、その時兄弟で話し合えばいいだろ?」
「アニキ……」
「さあ、俺はもう寝るぞ。お前の持ってきたアームド・ドラゴンもデッキに入れたし、今日のぶんのメダルも稼いだしな」

 そう言って自分の部屋に行こうとする万丈目。本来なら万丈目は今朝僕に負けた時点でジェネックスの参加資格はないのだが、どうもあのあとそこらへんでひとり適当に捕まえてメダルをさも持っているかのようにふるまいつつ半ば強引にデュエルを挑んでの勝利。何食わぬ顔してその生徒のメダルを分捕ってきてメダル数1となったらしい。本来なら僕が止めるべきなんだろうけど、なにせ本人から聞いたところによるとその相手というのが適当な光の結社とのことなので黙認。負けた生徒には災難だけど、光の結社に対してはざまーみろとしか言いようがない。私怨?あーあー聞こえない聞こえない。

「うん、おやすみ……あれ?」
「どうした、清明?」

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