五年後
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ディさんである。
「……あの、二人はいつもああなんですか?」
「ん? ああ。あの二人は同郷の幼馴染みらしいぜ」
「へぇ〜、初耳です」
「だろうな、言ってなかったし」
「……はぁ、結局ハーチェス様が見つからないわ……」
手に持ったシチュー?を残念そうに見つめながらリリアさんが部屋を去る。
少しして、周りの安全が確認できたのか、ハーチェスさんが恐る恐るといった様子で物陰から顔を出した。
「い、行ったか?」
「大丈夫ですよ、ハーチェスさん」
「よ、よかった、助かった……」
一安心したようで、ホッと息をつく。
リリアさんも、ハーチェスさんにゾッコンなのは別にいいのだが、その前に料理の腕を何とかしてもらいたい。爆発かゲテモノの二つにひとつだから、パディさんが毎度泣いている。材料費がぁ、と
「……なんか、リリアさんは想像してたエルフの人と違いますね……」
俺のとなりで、事の成り行きを黙って見ていたスウィードがボソリと声を漏らした。
確かに、エルフといえば誰もが容姿端麗で、認めたものにしか肌を許さないとか言われてるから、こう、もっとキツそうなイメージが湧くのも分かる。
「でもまぁ、あの人がああなのは、ハーチェスさんだけだ。ファミリアの団員にも優しいけど、他のやつに対してはエルフのイメージまんまだからな」
「そ、そうなんですか……」
「言っておくけど、もう一人の方が変っちゃ変だが……あ、そういや、ハーチェスさん。他の三人は?」
「えっと、確かデルガとアルドアは買い出し。エイモンドは……まぁ、いつも通りその辺を彷徨いてるんじゃないかな?」
さすが団長、団員のことをよくわかっていらっしゃる。
「スウィードも、ちょっと変わった人が多いファミリアだけどよろしくね」
「い、いや。むしろこちらこそですよ! まさか、自分が【バルドル・ファミリア】に入れるとは思ってもいませんでしたし!」
そういってくれると嬉しいよ、とハーチェスさんは笑った。
俺はといえば、スウィードの相手をハーチェスさんに任して自室に戻る。
ここ、【バルドル・ファミリア】のホームである【光明の館】は、俺達九人が住むには少々広い。なので、個人個人に部屋が与えられているのだ。プライベートルームがあるというのは本当にありがたい。
ちなみに、俺の部屋はホームを建てる際に【ゴブニュ・ファミリア】に頼み込んで自腹で和室にしてもらった。
極東風、と注文したのだが、見事な畳の部屋である。最高だ。
で、そんな部屋に似合わない三本の槍。
言わずもがな、破魔の紅薔薇と必滅の黄薔薇である。
尚、残りの一本は【ヘファイストス・ファミリア】に注文した短槍だ。
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