第七十九話
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すればするほどその円は小さくなるとのことだ。撃たれた方は撃たれた方で何やら発生するらしいが、相手はただのデコイだ、今は関係はない。
なるほど、ありがたいシステムだ――と、俺は引き金を引くより先に深呼吸を一つ、自身の集中力を高める。皮肉にも引き金を引く経験は、かの妖精の世界に置いてきた愛刀で十二分にある。
深呼吸とともに着弾予測円が狭まっていく。限界まで狭まったことを確認すると、俺はコルトパイソンの引き金を引く。
「…………ッ!?」
ガウン、という独特の音を演習場に響かせ、銃弾はデコイに向けて発射される。……しかし、俺にはその銃弾の軌跡を追っている余裕はなく、コルトパイソンを放った反動に腕が吹っ飛ばされていた。予想以上に強い反動に驚愕しながら、俺はもう一度コルトパイソンをデコイに向け、撃鉄を下ろして着弾予測円を表示させる。
残弾は五発。とにかく装填された分を撃ちきろうと、次は反動に吹き飛ばされないように構え、デコイに向けて引き金を引いた。
「うん、アレだねショウキくん、ヘタクソだね!」
「…………くっ」
……演習場の試射から帰った俺を出迎えたのは、邪気も容赦もないリーベの一言だった。何か言い返したいところだったが、動かない的に五発撃って一発も急所に当たらなければ、そう言われてもぐうの音も出ない。丁重にリーベにコルトパイソンを返すと、どうするかとばかりにため息を一つ。
「よーするに、当たるようになればいいんでしょ? ならリベえもんにお任せあれ♪」
そんな俺の心中を知ってか知らずか、リーベがコルトパイソンと取り替えるように、一つの銃をこちらに渡してきた。先程の拳銃より遥かに大きく、肩にかけて狙い撃てるようなパーツもついている。
「ショウキくんにはこれが似合うって思ったんだ!」
もちろんその大型の外見に違わず、コルトパイソンよりも重力があるようにも感じられるが、片手でも充分に振り回せるほどだ。期待に目を輝かせているリーベに応え、その銃を預かってもう一度演習場へと向かうことにする。
……こうして俺は、この世界でも戦う力を手に入れる。俺が使っていた演習場の人型デコイは、腰から上の部分が丸々消し飛んでいた。
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