第七十九話
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が言った投げナイフが得意そう――正確にはクナイ――で、彼女に問いたかったことを思いだす。ガンショップへの道中、無理やり会話を打ち切ると、彼女が言ったあのことについて強く問いただす。
「あの《SAO失敗者》っていうのは……どういうことだ」
この鬼ごっこが始まる直前、彼女は小さくそう呟いていた。……『自分はSAO失敗者なのだ』、と。俗に使われているSAO生還者ではなく、失敗者とは一体どういうことか。
「さて、そんなこと言ったかしら?」
道の先を行くリーベはこちらにクルリと回転しながら振り向き、笑顔でそう言ってのけた。……そう言う可能性も考えてなかった訳ではないが。
「ふざ――」
「……でもさ?」
自分にしては珍しく声を荒げて、もう一度問い詰めようとしたその時、リーベの顔が間近に接近する。二つに束ねたピンク色の髪の毛が視界を覆い尽くし、静かに彼女の口が言葉を発していく。
「BoBでウチを楽しませてくれた人には、もしかして何でも喋っちゃったり……して?」
リーベはそれだけ言うと俺から離れ、到着したガンショップで案内人のように「着いたよー!」などと普段通りに言いだした。……一瞬だけ感じさせた殺気のような雰囲気は、そんなリーベからは欠片も感じさせない。そして、彼女はもう《SAO失敗者》について――少なくとも今は――何も語る気はないらしい、ということも。
「…………」
……どうやら《死銃》以外にも、この世界でやることが出来たようだ。何が嬉しいのか、ピョンピョンと跳ねる踊り子を見て、俺はそう強く感じていた。
……さて、ガンショップへと到着したはいいが、何がどんな銃なのか自分には皆目見当がつかない。何せ今まで、銃どころか、エアガンに触れたことすら危ういのだから。
そういう事情もあって、俺は自らの銃を選ぶよりまず、試し撃ちをさせてもらうことにした。ガンショップに備え付けられた演習場……の片隅にある射撃訓練所。フィクションでよくある、人間型のデコイに銃を撃つタイプのものだ。
「重いな……」
そこを訪れた俺は、リーベから試しに預かった銃を見つめた。《コルトパイソン》と呼ぶらしい、そのリボルバー型の拳銃は、どうしたことかずっしりと重かった。普段振り回している日本刀よりも、遥かに軽いはずなのにもかかわらず、だ。
初めて持った銃の重さに少し感慨深くなりながら、俺は他の利用者の見様見真似でコルトパイソンを両手で構える。銃身をデコイに向けて撃鉄を少しずつ下ろすと、俺の視界に赤い円のようなものが表示される。
このGGOのシステムの一つである《着弾予測円》。撃てる状態の銃を構えると、自分の視界のみに伸縮する赤い円が表示される。放たれた銃弾はその赤い円のどこかに当たり、集中
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