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SAO−銀ノ月−
第七十九話
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っているビルの、登れそうな場所を見つけては器用に飛び乗り、そのままビルの屋上目指してジャンプを繰り返していく。

「……っ!」

 ついつい発そうとしてしまった舌打ちを飲み込むと、俺もリーベに習ってよじ登れそうなところを探すが、そうそう簡単に見つかるものではない。無理やりよじ登ることは可能だが、時間がかかってリーベに追いつくことは不可能になるだろう。また、リーベの行っているルートを辿るのも、身体の大きさや練度の違いから論外だ――と、そこまで考えると、俺は路地裏を逆走し始めた。

「これからこの建物を登るのはムリじゃないかなー?」

 建物を登りきったらしいリーベが、屋上に備え付けられた金網に寄りかかり、こちらを見下ろして話しかけてくる。見ようによっては、彼女がこれから飛び降りるような態勢だが、まさか今登ったところだとは誰も思うまい。

 その彼女の言葉は疑いようのない事実だ。今からリーベのいるビルの入口を見つけて屋上まで登る、などと悠長なことをしている間にリーベは逃げてみせるだろう。あのバランス感覚を見るに、あのビルからこの路地裏に飛び降りることも容易いだろう。

 ――よって、俺は一定の距離を進んだことを確認すると、その場で急停止する。足をジリジリと滑らせて勢いを殺すと、そのまま反転……つまり、リーベのいるビルの壁に向かって走りだした。

「……ッ!」

 裂帛の気合いを一つ。そのまま体当たりでもするかのようにビルに向かうと、その壁に足をかける。出来るだけ屋上まで一直線な平らな部分に。

「うそぉ!?」

 リーベの間の抜けた声とともに、俺はビルの壁を垂直に走り始めた。身体中に重力がかかるのを感じながら、壁を蹴るように一歩一歩走っていき、何とか限界を迎える前に金網に手をかけることに成功する。

「わ、わたた……!」

 リーベもまさか垂直に壁を走ってくるとは思っていなかったらしく、慌てて金網から逃げようとするものの、時は既に遅く。今度こそ逃がさないとばかりに、掴んだ金網を引っ張った最後のジャンプをすると、リーベの目の前に着地する。

「捕まえた」

 リーベが何か余計なことをするより早く、俺の手がリーベの腕を捉えていた。


「ねねショウキくんってさ! 実は曲芸師とかサーカスの人とかそんなんなんでしょ?」

「……違う」

 リーベを捕まえた約束通り、俺たちは再びガンショップを訪れることにした。《縮地》や壁走りを見たリーベは、興奮してマシンガンのように問いつめてくるが、そう言われると強く否定出来ない自分が悔しい。少なくとも剣士がやることではない。

「踊り子と曲芸師ならいいコンビになれるって! 投げナイフとかも得意そうだし!」

「……そんなことより!」

 奇しくも、リーベ
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