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第一章
チーズの匂い
ナポレオン=ボナパルトは俗に一日三時間しか寝なかったと言われている。しかしだ。
実際の彼は結構寝る男で一日八時間は寝ていたという。これでは睡眠時間が少ないとは言えない。結構以上に寝ていると言ってもいいかも知れない。
だが多忙なのに違いはない。皇帝ともなるとどうしてもそうなる。ましてや己に権限を集中させているとだ。何かと仕事が多くなるのも当然のことである。
その多忙の彼がパーティーに出席していた。しかし疲れが出たのか別室で休んでいた。その彼のところにである。急な知らせが入って来たのである。
まずは側近達がその知らせを聞いた。そのうえでこう判断したのである。
「すぐに陛下にお知らせしないとな」
「この話は知らせないとな」
「うむ、まずい話だ」
こうしてだ。その別室において休んでいるナポレオンに報告することになった。それで別室に行ってみるとだ。
ナポレオンは椅子に座ったまま寝ていた。疲れのせいか元々よく寝る男だからかどうかわからないが彼は確かに寝ている。しかし今は起こさなくてはならない。
しかし下手に声をかけたり身体をゆすったりしてはだ。起きたナポレオンが怒ってしまう。流石に皇帝をこんなことでいちいち怒らせていては話にならない。起こさなくてはならないというのにこれは困った事態であった。
側近達はどうして起こすべきか考えた。その中で一人がこんなことを言った。
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