暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第118話 歴史改竄
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で繋がる、……と言う事ぐらいは理解して貰いたいのですが。

 結局、ノーアウト満塁と攻め立てても得点は一切、動く事もなく二点差の八対十。



 そして現在は――

「ボール。フォアボール」

 六回表が始まってから三人目のフォアボール。都合十二球連続のボール判定でノーアウト満塁の大ピンチ。
 ……と言うか、

「ちょっと、今の球の何処がボールだって言うのよ!」

 セカンドから怒りの声が飛ぶ。但し、その相手は俺の脇を通り、有希の後ろに立つ黒い完全防備の野球部所属の男子生徒に向かって発せられた声であった。
 そう、五回表の攻撃と違い待球戦法に切り替えた九組。そして、五回裏の六組の攻撃で危機感を抱いた主審の対応が変わったタイミングが見事に合致した。

 それは……。

「ボール。フォアボール」

 終に十六球連続のボール。つまり、九組の選手が見送れば、それはそのまま全てボール球と判定される、と言う事。
 六回の表の先頭打者。九組のショートが何の苦労もなくベースを一周して還って来た。これで八対十一の三点差に。

 ……いや、その点差以上にもうどうしようもない状況へと追い込まれたと言う事。

 仕方がないか。
 軽い嘆息と共に、そう小さく呟く俺。一般人に害を与えるのは忌避したいのですが、状況がそれを許さない状況。
 少なくとも、こんな小物に俺の命運を左右される訳には行きませんから。

 かなり根性のねじ曲がったかのような笑みを浮かべながら挨拶を行った後に、右のバッターボックスへと入る九組の二番打者。但し、バットを真面に構える事もなく、まるで有希が行うような身体に一切の力が入っていない、ただバットを担いで突っ立っているだけの状態。
 ここから真面にバットを振り出せるほどの鋭い踏み込みが出来る能力は、この二番センターの選手はこれまでの三打席で示してはいません。故に、これはただ突っ立っているだけで一塁に出る気満々と言う事なのでしょう。
 もっとも、現状では更に打点のオマケ付きなのですが。

【有希】

 サイン……と言うか、次の球の要求が来る前にこちらから話し掛ける俺。当然のように【言葉】にしての答えはない。しかし、キャッチャーマスクの向こう側から瞳のみで次の言葉を要求する有希。

【次の初球、スクイズ警戒の振りをしてピッチドアウトしてくれるか?】

 ピッチドアウト。つまり、スクイズを警戒してバッターの届かない外角に大きく外れる球を投げる、と言う事。
 もっとも、それは表向きの理由。本当の目的は――

 微かに……本当に、動いたのか、動いて居ないのか。普通の人間には見分けが付かないレベルで首肯く有希。

 そして、こちらの方は有希から出されたサインに首肯く振りをする俺。状況はノ
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