第6章 流されて異界
第118話 歴史改竄
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なくちゃいけないの、とか、あんた、手相を見る特技でもあったの、などと言う無駄口を叩く事もなく、素直に右手を差し出して来るハルヒ。
もっとも、手の平を上に向けた状態。まるで俺が彼女の手相を見る為に手を出せと言ったのか、もしくはお手でもさせたいのか、そんな感じで手を差し出して来ている。
コイツ、頭は良いけど、野球に関してはほぼ素人か。そう考えながら上に向けられていた手の平を右手で俺の方に向け、彼女の手の平にグローブを外した左手を合わせる。
――意外に小さくて華奢な……彼女の性格的に言うと似合わない、割と繊細で整った指先に少しドキリとしながら。
「それに、これだけ手の大きさに違いがあると、投げられる変化球にも差が出るから」
比べると指の関節ひとつ分以上、大きい俺の手と、小さく白い手のハルヒ。完全に合わせるとその二つの差は歴然。これだけの差があると、流石に同じ球――直球も、それに変化球も無理だと思わざるを得ないでしょう。
「大体、俺はこの決勝戦まで、ハルヒのストレートが簡単に打ち崩されるとは思わなかったからな」
この学校にも漢が居た、と言う事やな。
少し真面目な表情と声。しかし、内容はどうにもふざけているようにしか聞こえない内容の言葉で閉める俺。
確かにハルヒの投げていたのはリトルリーグのエースクラスの直球。但し、ここは偏差値で言えば六十程度の中堅の進学校と言っても差し支えのない高校。まして、野球部員は野球のチームにエントリー出来ないシステムだった為、ハルヒの投球で十分に抑えられると判断していました。
それに守備は鉄壁。チームの攻撃力も高い。このチームが追い詰められるなどと考える方がどうかしていた。
普通の素人の野球はコントロールを乱して自滅するか、守備が壊滅するかの二択。そのどちらも当て嵌まらないチームですから。
この一年六組の野球チームは。
それに、わざわざハルケギニアから追っ手がやって来るなどとは考えて居ませんでしたから。
確かに相手の能力。――時間と空間の法則を超越した存在。すべての時と共に存在し、あらゆる空間に接して居ると言う記述を信用するのなら、ヤツ……自称リチャードの能力のひとつは次元移動能力。これを活用すれば例え異世界に追放された相手でも追い掛ける事は可能です。
しかし、可能だからと言って、それを行う意味が有るかと言われると……。
俺が、俺自身を過小評価している所為なのか、それともヤツラが俺の事を過大に評価しているのか。現状では情報不足により詳しい理由は分かりませんが、今回のこの介入に関しては取り敢えず現状の……異世界に追い出した俺と、一度阻止された介入に対する様子見。それに合わせて少しチョッカイを掛ける程度の接触なのでしょう。無理に理由を探すとするのなら
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