第6章 流されて異界
第118話 歴史改竄
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「ちょっと待ちなさい!」
かなりの早足で一塁側のベンチに向け歩みを進める俺。その俺を呼び止める四回裏の先頭打者。
……と言うか、
「おいおい、ハルヒ。オマエさん、裏の回のトップバッターやろうが。俺を呼び止める時間的な余裕はないはずやぞ」
一人に全力投球しただけで頭に巻いた包帯が緩んで違和感バリバリの状態。気分的には、さっさとベンチに戻って有希に巻き直して貰いたいのですが……。
マウンドを降り、後二歩でファールラインを跨ぐ、と言う場所で立ち止まった俺が、左斜め後方に対して振り返りながら答えを返す。
その場に居たのは……。
陽光は冬に相応しい弱い物。但し、その陽光が跳ねる黒髪。白い……とは言っても健康な白い肌。他人……多くの同年代の少女たちがうらやましく思うであろう長いまつ毛。その虹彩さえも黒いのではないかと思わせる瞳は……相変わらず、何故か不機嫌そのものの少女の姿。
少しは笑って魅せてくれたら、俺の中での彼女の評価もマシになるのですが……。
「あんた、フォークボールなんて投げられたんだ」
それなら、なんであたしに変化球を教えてくれなかったのよ。
かなり不満げな雰囲気でそう言うハルヒ。もっとも、この不満は仕方がない事。もしも、もう一球種ぐらい彼女が持って居たのなら、人外の三番と九番は難しいにしても、それ以外の連中ならばどうにか出来たかも知れなかったのですから。
少なくとも十点は取られていないでしょう。
ただ――
「俺が最後に投げたのはチェンジアップ。あれはフォークやないで」
流石に早足でベンチに帰る訳にも行かず、さりとて立ち止まって長々と話し込む訳にも行かない状況。故に歩調をハルヒのそれに合わせながら、そう答える俺。
そう、俺が先程の回の最後に投じたのはチェンジアップ。但し、チェンジ・オブ・ペースと言う、打者のタイミングを外すだけを主たる目的としたスローボールなどではなく、俺の投げるチェンジアップはフォークボール並みのブレーキの効いた鋭く落ちるタイプの変化球となる球。
実際、決め球に持って来ても十分に通用する事は、強打の三番を三振に斬って取った事で証明出来たと思う。
但し――
「感覚的に言うと人差し指と薬指で抜く感覚。ボールに一切の回転を与えないようにして投げる必要もある」
深く握ると、どうしてもリリースの際に回転を与える事となる為に浅く握る事も必須。変化球……特にチェンジアップを投げる際に必須とされる、ストレートと同じ腕の振りを維持しなければならないのも当然。
こんなプロ野球の投手が投げる変化球並みに難しい球、一日や二日でマスター出来るとも思えない。
それに……。
「ハルヒ、手を出してみな」
何でそんな事をし
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