暁 〜小説投稿サイト〜
赤い男
1部分:第一章
[2/2]

[9] 最初 [2]次話
のであった。
「思えばです」
「今度は何だ」
「あの頃は」
 思い出すような言葉であった。
「あの方も違いました」
「あの頃とは何だ」
 先導する衛兵はここでもいぶかしむ顔で彼に問うた。
「一体何時のことだ」
「皇帝陛下がエジプトにおられた時です」
 その時のことだというのである。
「その時代ですが」
「随分古い話だな」
「古いですか」
「私がまだ軍に入る前、いやまだ子供だったか」
「そうですか。もうそれだけなりますか」
「そうだ。そんな前の話だ」
 そこまで古い話だというのだ。少なくとも衛兵にとってはそうであった。

[9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ