第17話
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ある日の昼下がり、珍しく時間に余裕が出来た袁紹たちは、中庭でのんびり過ごしていた。
「ちょっと猪々子! 貴方取りすぎよ!!」
「いいじゃんいいじゃん、早い者勝ち〜」
「私の分まで……、ひどいよ文ちゃん!」
先日、袁紹の妹である袁術から蜂蜜で出来た菓子が送られてきており、皆でそれに舌鼓を打つ
「なんと美味な、たまには菓子も悪くないですなぁ」
「呂布殿、もっと食べて下され」
「……(モグモグ)」
「頬張っている姿が可愛らしいですね〜」
「猪々子、皆の分あるのだからがっつくでない」
「うっ、すんません……」
新しい菓子に手を伸ばしていた猪々子を軽く諌め
「音々音、恋に自分の分を与えるのは良いが、お主の分がもう無いではないか」
「ああっ、しまったのです!」
「まったく……、ほれ、我のを分けてやろう。そのかわり味わって食べるのだぞ?」
「え、でも」
「遠慮はいらぬ」
「……ありがとです」
自分の分まで恋に与えてしまった音々音に、菓子を分け与える。
一見、周りに気を使っていて休まる時が無いように見えるが、彼女達と過ごすこの時間は袁紹にとってかけがえの無い休息の時間でもあった。
「お兄さんは音々ちゃんみたいな小さい子でも、平気でたらしこむのですね〜」
「これ、人聞きの悪い」
「そうよ風、ってなんで麗覇様の膝の上に座ってるのよ!?」
「ん〜、ぽかぽかしてて気持ち良いからですよ〜」
そう言って風は袁紹の胸に体を預ける。
「くぅ、……ちょ、ちょっと代わりなさいよ」
「だめですよ、此処は風の特等席です」
悔しそうに睨む桂花に対して、見せ付ける様に顔を擦り付けた。
「それに風は軽いですから無問題なのですよ、ね〜麗覇様」
「うむ、まるで羽のようだぞ」
「う……うぅ」
「け、桂花?」
取り繕うことができず。彼女は肩を震わせ――
「フシャーーー!!」
理性を捨て憤怒した。
「おっと、落ち着かれよ桂花殿」
飛び掛ろうとした彼女を星が抑えたが、野生の猫のように暴れている。
「これは……、やりすぎましたね」
その様子に風は反省の色を見せ、袁紹の膝から降りた。
「名残惜しいですけど特等席を譲るのですよ」
「え? いいの!?」
「はい〜」
「……別に構わんが我の了解も聞いて欲しいものだ」
理性を取り戻した桂花は袁紹の前に立ち――
「そ、それでは麗覇様! 失礼致します!!」
腰を落とそうとしたその時だった。
「失礼します! こちらに袁紹様は――「何よ!」ヒィッ!」
袁紹を探しに来た兵士に行動を遮られてしまい。思わず声を
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