第17話
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最後の言葉に目を見開かせる。先ほどの話しが袁紹の目標、それはつまり――
「袁紹殿は……先ほど話した政策を、大陸全土に施す為に動いていると?」
おそるおそる関羽が確認するため口にする。良く見ると唇が震えていた。
そんな彼女達に対し、袁紹は音を立てながら勢い良く扇子を眼前で広げ――
「当然である! そして我が政策が行き届いた暁には、大規模な賊など存在せず。
安定した生活の中で、民達の笑顔が溢れた世になるだろう! フハハハハハ!!」
豪快に宣言し笑い声を上げた。まるでそうなるのが当然、と、言わんばかりに。
傲慢、不遜ともとれるほどの、自信に満ちた彼の言葉に唖然としていた劉備達だが、先に我に帰った関羽は主に声を掛ける。
「――桃香様」
「うん」
彼女の言葉に頷く劉備、普段は何かと鈍い彼女だが、この時ばかりは義妹の考えに気が付いた。
「袁紹さん、またお願いが出来たんですけど……、聞いてもらえますか?」
「フム……、大体予想できるが――申してみよ」
「はい! あの、私達三人を袁紹さんの下で――「だが断る」ええっ!?」
「なっ!?」
「んにゃ?」
劉備の願いをあっさり一蹴する袁紹、話の流れ的にも断られるとは思っていなかった彼女達は、再び目を見開いた。(若干一名、頭上に大きな疑問符を浮かべている)
「な、何故ですか!?」
劉備は当然の疑問を口にした。彼の掲げる目標は沢山の人手が必要なはずである。
自分は兎も角、武官として優秀な義妹達を欲しがらないとは思えなかった。
「フム……、時に劉備よ、我から一つ陳腐な質問をしても良いか?」
「え?えっと……、はい」
自分の疑問に答えず。唐突な話題転換に目を白黒させたが、とりあえず聞く事にした。
「一人の子供と十人の大人が危機に陥っていたとして、片方しか救えぬ場合……お主はどちらを救う?」
「えっ!? えっと……どっちも助けます!」
「フム、どうやって」
「が、がんばって……です」
「その答えは満点ではないな」
「……」
袁紹の言葉に沈黙する劉備。そもそもこの質問に正解などあるのだろうか?――
「『我』ならば迷わず十人を選ぶ」
「そんな!?」
「多数を救うために少数を切り捨てる覚悟を持つのは名族として――いや、上に立つ為政者として当然の義務である。そして今のお主には理解できない覚悟だ」
「……」
「お主は……清すぎる」
穢れを知らない。と言うよりは穢れから目を背け、理想を盲目的に追い続ける。
劉備からはそんな雰囲気を感じ取った。
「先に話した我が理想、その実現のために少数を切り捨てる場面もあろう。そしてその度にお主達は反発し
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