旅行の時間(2016/05/16 加筆修正)
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俺がそう告げると、不破さんは目を見開きながら俺の手を両手で握って来た。
「本当!?絶対、絶対に作ってくれる!!?」
「へ?いや、まぁ……。パーツ量産の目処がついたらだけど」
「パーツの量産が可能になったら絶対作ってよ!私、一度でいいから漫画に出て来る道具とか使ってみたかったの!!」
「分かった。分かったから!」
俺は不破さんの余りの興奮っぷりに引きながら、握られている――というか逃がさんとばかりに捕まれている手を振り払い、不破さんから離れることにした。
そして、この不破さん達との遣り取りから十数分後。東京駅のホームにはE組のメンバーが全員揃い。更に30分後には3年の全クラスが揃った。
で、いよいよ新幹線に乗って京都に行く訳なんだが、椚ヶ丘の方針でA〜D組はグリーン車、E組は普通車と差別がされていた。
「E組の人間に中間総合1位を奪われる様な低脳な獣が、優越感に浸った顔でグリーン車に乗り込む様は滑稽過ぎて寧ろ笑えないな」
「あ、相変わらず自然と毒を吐くよな。南は」
「う、うちの学校はそういう校則なんだよ。嫌なら本校舎に来れば良かったんだ」
菅谷が俺の吐いた毒にツッコミを入れたかと思えば、本校舎の生徒の1人が屈辱に顔を歪めながらそう言ってきた。
「俺、他者を見下すことでしか自分の地位を確保できない様な獣の集まる所に興味ないんだよね。何か、強者に挑むことを放棄した弱者の巣窟みたいだし、そんな所に身を置いてたら心身共に腐っちまうから、転級なんてこっちから願い下げだわ。
まぁ、牙を抜かれた飼い犬が群れる場所としては最高の環境なんじゃねぇの。他者を見下しながらも挑戦者という立場であろうとする俺には、全く魅力を感じねぇ環境だけどな」
「今日もイッキの毒舌は鋭さが半端無いな」
「見ろよ、磯貝。本校舎の奴ら、下唇噛みながら青筋立ててるぜ」
「言い返したくても、相手が中間総合1位だからな。何言っても負け犬の遠吠えになるって分かってるから、何も言えないんだろうな」
おいおい。悠馬も陽斗もそんな言葉責めしてやるなよ。本当のことでも、奴らが変な性癖に目覚めたらヤバいだろ?(笑)と、こんな遣り取りをしつつ、俺達は新幹線へと乗り、古都・京都へと向かうことになった。
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