第一七話「世界の核」
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1,
「『平均化』の魔術……?」
インデックスは10万3千冊の魔導書を脳内に記憶している、文字通りの魔導書図書館である。
対魔術師戦となればそれらを総動員し、相手の魔術の特性や弱点を瞬時に割り出すことが容易に出来る。もし仮に、アレンジされた物や、完全に新しく生み出されたオリジナルの物でも、大抵は解析が可能だ。現に、彼女は異世界での会合の際にも、その能力で味方のサポートを行い、敵の特性を見抜いていた。彼女の能力は、異世界の魔術にも通用する物なのだ。
しかし、そんな彼女にも『平均化』の魔術など、聞いたこともないし、見当もつかなかった。
「私の中の10万3千冊にもそんな魔術はない。それはどんな魔術なの?」
「私も見当はつくが、確信がない。聞かせてくれ。その魔術はどのような効果を持つ?」
オティヌスですら確信が持てない物だというと相当の物だろう。もちろん魔術に対してはエキスパートというレベルを通り越している自分やオティヌスが匙を投げるほどの物なので、上条やキリト、フラクシナスの面々はおろか、必要悪の教会の面々にもどのような物かは見当がつかないだろう。
『そうですね……簡単に言うならば』
と、賀川の目線がキリトに向けられる。彼はキリトを見ながら
『桐ヶ谷くん』
「あ、はい。俺……ですよね?」
『はい』
うなづくと、賀川はキリトに一つの問いをした。
『桐ヶ谷くんにとって、魔術というものは馴染みあるものですか?』
「え?いや……ゲームとかでは魔法は出てきますけど。ALOにも魔法は出てきますし」
『あ、すいません。聞き方が間違っていましたね』
恐らく、彼が聞きたいのは「魔術」という単語自体ではなく
『魔術という現象……それによって現実におこる現象について、あなたは馴染みがあるのかと』
「……いや。少なくとも、俺はここに来るまで、魔術なんてものが現実に存在することも知らなかった」
……そういうことか。
賀川の質問に隠された意図。それにインデックスは気付いた。それと同時に、「平均化」の魔術がどのようなものかがはっきりした。
それは
『そうです。桐ヶ谷くん達の世界には、魔術というものは、少なくとも架空の存在でしかありませんでした。
しかし、上条くん達の世界では一般に認知されているわけではないといえ、魔術は確実に現実に存在しています。士道くん達の世界や合成されたもう一つの世界にも、形には違うとはいえ魔術というものは確かにあります』
「成る程」
それを聞いて確信ができたのだろう。隣の上条の頭の上のオティヌスが納得がいったようにうなづいた。恐らく、その答えは自分と同じ物に違いない。
「『平均化』の魔術……それは
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