第一七話「世界の核」
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れが世界を歪める規模の大規模魔術が発動した片鱗すら感知できなかったのだ。情けないったらありゃしない。
……しかし私が何も分からなかったとなると、相当な厄介な相手だな。これを仕掛けた魔術師は。
力は失ったが、今でも異世界で起こったイタズラの神の策謀程度には気づくことができた。ほんの数分とはいえ、あの戦争好きの馬鹿の体も乗っ取ることができた。そんな自身に何も気づかせずに対界レベルの魔術を使用した魔術師となると、只者では無い。
……もしや、また新しい魔神でも。
そんなことを思って、首を振る。前に上条が言っていたが、そんなに魔神がポンポン、ビールの泡のように現れるわけがない。自身ですらあれほどの苦労と苦心を掛けたのだ。仮にいたとしても、魔術が5人も6人もいてたまるかという話だ。魔神の価値がダダ下がりではないか。
……大方出たところで、1人か2人は噛ませになるのが関の山だな。
新しい魔神の可能性については放置しておこう。第一、そんなことを言い出したら下の奴が心底怯えるに違いない。ここまでの魔神についてのトラウマを作ったのは自分だし、いたずらに怯えさせるのは避けたほうがいいだろう。
「ちょ、ちょっと待てよ」
と、思案の中にあった者の声が真下から聞こえてきた。上条だ。
「それでなんで俺が狙われなくちゃならなくなるんだ!?」
「それの説明もする前に、1つ確認しておきたいことがある」
上条が狙われる理由。それにも大体の確信は持てているが、確認の為にも1つ確かにしておかなければなら無いことがある。
「これはまだ疑念だが……恐らく『平均化』の魔術は不可なく発動し、他の分散された3つの世界の異能は、軒並み消えているのだろう?」
『はい。その通りです』
やはりか。
となると、上条が狙われるのは明確だ。すなわち
「お前が狙われる理由は簡単だ。実験された『平均化』の魔術がこの世界のみ発動しなかった理由。それがお前の右手だからだろう」
??
幻想殺し。
そう呼ばれる能力が宿る右手を、上条は見つめていた。そして思うことが1つ。
……またこれかい。
この能力は確かに役立つ。これが無ければ乗り越えられなかった問題や修羅場は今まで多く体験してきた。
だが、そのせいで不幸になるわ、そのせいで魔神の標的になるわ、そのせいで変な連中に狙われるわ。いくら何でもデメリットが高くないだろうか。
……この前も調べさせてくれって変なおっさんに懇願されたしな。
「……具体的な説明はできる?」
「勿論だ」
琴里の要請に上にいる妖精さんがうなづくのが分かる。もうほぼマスコット化していて、あの頃の威厳はあれど、可愛いが先行している気が
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