第一七話「世界の核」
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、ある世界における特異な部分を、それが存在しない世界と合成させることによって打ち消す魔術だな。違うか?」
??
強くうなづく青年を見て、オティヌスは全ての合点が合った気がした。敵が施した物の正体も。それで何故下の馬鹿がねらわれることになったのか。
……そういうことか。
「……どういうことですか?」
「五和も言っているが、俺たちも少し理解しずらいのよな」
だが、やはりまだ全てを分かっている人物は少ないらしい。どう説明するべきか。と考えてみると、いい例えが思いついたのでそれで説明してみる。
「そうだな……簡単に飲料水あたりで例えをしてやろう」
「飲料水……。お前もそういう例えをする辺り、いい具合に染まってきたなー」
黙れ、と一応言っておいた。
「別に普通のジュースでいいが……近頃コンビニに売っているあの普通の水にトマトやらみかんやらりんごやら味を加えたジュースなんだかミネラルウォーターなんだか分からん飲料水があるだろ」
「ああ。いろ○すですね」
アスナが取り出した簡単につぶせるペットボトルに入った飲料水。それ見てオティヌスはうなづく。
「そう。それだ。普通あれの違う味同士をごちゃまぜにして一つにすれば、それぞれの味が混ざったよく分からん飲料水が出来上がるだろう」
『よしのんは飲むことできないけどなにそれ超不味そう……』
「同意。以前耶倶矢とともに興味本位で試してみたら、それぞれの良さを潰しあった、絶望的な味に仕上がりました」
試したことあんの……?とどこからともなく呆れの声が上がってきた。いかん。話がずれている。
「と、ともかくだ。味はともかく普通ならそれぞれの味は混ざったとはいえ残るはずだ。
そこは良くなるか悪くなるかはわからんが、ともかくお互いの要素が混ざり合った物となるだろう。……そこで『平均化』の魔術を使うとどうなるか」
「……どうなりやがるんですか」
「実に簡単だ。りんご味の物にみかんの要素はない。みかん味の物にトマトの要素はない。お互いに無い異質な部分を潰しあい……ただのミネラルウォーターになる。味も何もない、実にシンプルな仕上がりのな」
一息、区切る。
「お互いの世界の異質な部分のみを消し合い、お互いの世界に共通する部分のみを残す。お互いを平均的にすることで、お互いの良い要素も悪い要素も消す。
それが『平均化』の魔術だろう」
??
『正解です。流石は、と言っておくべきでしょうか』
「いらん。そもそも、元魔神という身でありながらそんな魔術が発動されたにも関わらず、何も気づかなかったのだ。情けない」
今の言葉は本心からだ。魔神の力を「妖精化」でほぼ全て失ったとはいえ、一時的にも魔神だった身。そ
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