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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
50.金色の異端者
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夫か、自分?」
海原の声にハッとし、我に返った。
抱きかかえていた女性を建物の壁にもたれ掛けさせている。
「にしても近くに同族がおるとは、予想外やったわ」
先ほど歩いてきた道を見ながら海原は呟いた。どこかこんな状況で気の抜けたようにも見える。しかしその目には憎々しげに何かを睨みつけているようにも見える。
「同族……ですか?」
かなり遅れて反応する彩斗に海原は小さく頷く。
「ずっと気にはなっとったんや。自分のあれについてをな」
まるで彩斗の心でも読んだかのようなタイミングで話し出す彼にわずかな疑念が浮かんだ。しかしそれは思い込みだと瞬時に判断し、次の言葉を待った。
「大方やけどあれは眷獣の仕業と思うのが妥当やろ」
その可能性は少しは考えた。しかし、彩斗が獅子王機関の武器を持ったタイミングに合わせてその眷獣を召喚させる必要性がどこにあるのだろうか。仮にそうだったとしても“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”が他の吸血鬼に魔力を察知されることなく召喚することなど可能なのだろうか。
いろいろな考えが頭を廻る中、海原は大きく伸びをしながら彩斗が欲しい答えを口にした。
「普通の吸血鬼やったら無理やけどあいつと同等の力を持つやつやったら……ありえん話でもない」
「……あいつ?」
それが口に出来た唯一の言葉だった。
そうや、と海原が呟いた。
「大丈夫ですか!?」
慌てたような少女の声が聞こえたのはその直後だった。声のした方へ首だけを向けると倒壊した建物の隙間から少女が二人こちらへと向かってくる。
見覚えのある制服姿に彩斗は目を見開く。それは間違いなく獅子王機関の少女たちが着ている制服だ。
またかよ、と内心思いながらため息を洩らした。
肩にかかるくらいの黒髪に端正な顔立ちをした少女と長い栗色の髪を後ろでまとめた長身の少女だ。
「ちょっと待ってよ、雪菜!」
長身の少女が前を走っている黒髪の少女に制止を促す。
「紗矢華、急いでください!」
逆に黒髪の少女は長身の少女を急かす。
普通なら助かった、と思うところなのだが、獅子王機関の目的は一般市民の保護。だが、彩斗を除いて今ここにいるのは、“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の血脈を継ぎし者たち。それに彼女たちの手には見覚えのある銀色の剣が握られている。長身の少女が持っている武器は少し形状が違うようだが、大体は同じ者だろう。
二人の少女はこちらに到着すると走ってきて切れた息を整えている。
「お怪我はありませんか?」
「は、はい。俺たちは大丈夫ですけど……」
そう言いながら壁にもたれ掛かって気を失っている女性へと目を向ける。黒髪の少女は女性の姿を見るとすぐにそちらへと駆け
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