第二百十二話 死装束その四
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「いや、長い戦じゃったが」
「それが終わってな」
「うむ、褒賞もな」
「凄いではないか」
「領地だけではない」
それに留まらず、だったのだ。
「茶器も武具もな」
「馬もじゃ」
「書や宝までじゃ」
そうしたものまでだ、信長は家臣達n与えたのだ。
「金や銀も凄い」
「まさかこれ程の論功とは」
「いや、流石殿」
「全くじゃ」
「官位までな」
それを与えられた者も多かった。
「我等に下さった」
「主な方々だけにしてもな」
「官位までとは」
「殿も奮発されたわ」
「では我等はな」
「これまで以上にな」
「忠義に励もうぞ」
こう話すのだった、しかし。
利休は信長にだ、茶の場で二人にいる時にだ。こう言ったのだった。
「まず平手殿、勘十郎様に」
「最も功ありとしたのがじゃな」
「はい、それは蕭何の功ですな」
「そうじゃ、あの二人が近畿と美濃、尾張を守っていてじゃ」
織田家の拠点であるその国々をだ。
「そこからものを淀みなく送ってくれた」
「それが、ですな」
「この度の戦では大きかった」
それで、というのだ。
「あの二人、それに三郎五郎がな」
「功績の一とされたのですな」
「そうじゃ」
あえてそうしたというのだ。
「あの者達は戦の場の将帥以上のことをしてくれた」
「それ故に」
「褒美を与えたのじゃ」
「そういうことですな」
「領地にしても」
「その領地ですが」
利休は今度はこの話をした。
「確かに権六殿や日吉殿には多くの領地を与えましたが」
「それでもじゃな」
「思ったよりも多くはありませんでしたな」
「うむ、ある程度でな」
「五十万石程に留め」
「権六でもじゃ」
織田家の宿老の一人でありこの度の一連の戦でも多くの功績を挙げた彼でもだというのだ。それでもなのだ。
「六十万石でな」
「止められましたな」
「うむ、今最も石高が大きいのはじゃ」
「徳川殿ですな」
駿河、遠江、三河の三国を治めている彼だ。
「百六十万石で」
「あの者は別格じゃ」
「そしてその徳川殿も」
「あれ以上はな」
領地はというのだ。
「なしじゃ」
「そうされるのですな」
「大きな大名は置かぬ」
こう言うのだった。
「程々にしてな」
「織田家の力は大きくし」
「そうしてじゃ」
「天下統一の後は」
「大きな家を政の中心にするよりもな」
「小さい家をですな」
「置きたい」
そして治めたいというのだ。
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