第五十二話 来訪者その十
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「次元が違う場所に用意しているものを出す」
「その力は何でしょうか」
桜がその武器のことを問うた。
「一体」
「これはね、魔術だね」
「魔術で別の次元のものを引き出せる」
「君達それぞれの武器だけをね」
「魔術も入れたことで」
「そうだよ、遺伝子の中正確に言えば頭の中に置いていたんだ」
つまり脳の中にというのだ。
「そして時が来れば覚醒する様になっていたんだ」
「怪人達が私達のところに来た時に」
「そうなんだよ」
「そうでしたか、何かこれまでの謎が」
「一気にわかってきたね」
「はい」
桜は穏やかだが確かな顔で伯爵に答えた。
「本当に」
「そうだね、けれどね」
「それがですね」
「彼への対抗として止むを得なかったんだ、君達自身を守る為にね」
「カリオストロ伯爵ですね」
鈴蘭が目を光らせた。
「つまりは」
「わかるね」
「はい、というと」
「うん、私が天極博士と知り合い、これはとある集会で偶然会ってからだったけれど」
伯爵は智和の祖父との会合のことも話した。
「何度か会ううちに博士の資質に感銘を受けてね」
「そしてですね」
「共に君達を生み出して幸せに過ごしてもらおうと思い生み出したけれど」
「幸せに、ですか」
「そう、君達全員にね」
八人共にというのだ。
「そう思いつつ生み出したんだ」
「伯爵はあたし達に幸せにか」
薊もここで言った。
「生きていて欲しいのか」
「その命が尽きるまでね」
「寿命までか」
「当然だよ、誰でも幸せに過ごす権利があるんだ」
伯爵は彼自身の思想も語った、それは錬金術や魔術とは別のフリーメーソン的な博愛主義と言うべきであろうか。
「誰でもね」
「あたし達みたいな人造人間でもか??」
「人造人間の何処が問題なのかな」
伯爵はくすりと笑ってだ、薊の今の言葉に返した。
「私は子供を作れないんだ」
「だからか」
「君達の様な人達をこれまで生み出してきているんだ」
「子供をか」
「わかるかな、私は子供が欲しいのだよ」
このことはだ、博士は寂しげでかつそこに悔恨や苦悩も込めて語った。
「どうしてもね」94
「だからこれまでも」
裕香がそうした感情を見せる伯爵に問うた。
「人造人間の人達を、ですか」
「生み出してね」
さらにとだ、伯爵は話を続けた。
「見守ってきていたんだ」
「子供として」
「そう、君達もそうだったけれど」
「カリオストロ伯爵がですか」
「実は我々が君達を生み出していることを察して」
「怪人達をですか」
「生み出して仕掛けてくるとわかってね」
伯爵はさらに話した。
「君達にそうした力を遺伝子の中に入れたんだ、幸い君達を生み出している最中だったからね」
「ホムンクルスが試験管の
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