第五十二話 来訪者その九
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そしてだ、伯爵はその畳の部屋で自ら茶を入れ菓子を差し出してだった。
一行にそれを馳走しつつだ、話をはじめた。
「私はホムンクルス、人造人間の研究もしていてね」
「それであたし達を産み出したのかよ」
「そう、ただこれまでのホムンクルス達は」
伯爵が産みだした彼等はというと。
「普通の能力を持っていてね」
「あたし達みたいな力の持ち主はか」
「そう、己の潜在能力を極限まで引き出せて」
そしてというのだ。
「気を火や水に変えられる」
「気はオーラのことだよな」
「如何にも」
「あたしの火なんかそうだよな」
ここで薊が例えることはというと。
「明王の気が火であるのと同じで」
「そう、気は色々でね」
「火にも水にも土にもか」
「明王は怒りの気が火となるんだ」
明王像の背に表現されている燃え盛っている炎は怒りの気だというのだ、倒すべき悪に対する怒りの炎だ。
「そして他の気はね」
「十二天を見ればわかりますね」
黒蘭が伯爵に言った。
「それぞれの力を背負っていますね」
「そう、君達の気は言うならば」
「十二天の気ですね」
「そうだよ」
「やはり」
黒蘭が伯爵のその言葉に頷く。
「そうですか」
「君達の気はそれぞれの力を出す様になっているんだ」
「そういう風に」
「遺伝子に入れたんだ」
こう話すのだった、この謎について。
「錬金術というより仙術の分野の話だけれど」
「遺伝子に気のことを入れることは」
「そう、気は東洋で研究、実用化が進んでいるからね」
伯爵は菖蒲にも答えた。
「私は中国にも長くいたからね」
「昔からですか」
「四千年前からね」
年代はかなり古くからだった。
「あの国を行き来しているよ」
「それで気のことも学ばれて」
「君達に入れたんだ」
「そういうことですか」
「あと私はね」
ここでだ、伯爵はこうしたことも話した。
「四千年前はまだ生まれていなかったよ」
「あっ、そうなんですか」
「私が何時生まれたかは実は私自身もよく覚えていなくてね」
「そういえば不老不死ですけれど」
「様々な時代を行き来出来るんだ」
菊にはこのことを話したのだった。
「タイムマシンでね」
「タイムマシンも持っておられるのですか」
「そう、これは科学だよ」
こちらの分野の話になるというのだ。
「この話は複雑になるけれどね」
「そうですね、タイムマシンともなると」
菊もその話には最早錬金術や魔術少なくとも生半可なレベルのそれを超えたものを感じて応えた。
「普通には」
「時間を飛び越えることは楽ではないよ」
「そうですよね」
「だからね」
それでだというのだ。
「私も開発には苦労したよ、けれどそのタイムマシンで」
「昔の中国に
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