誕生、前代未聞の冒険者
第八話
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「ウンウン!!こういう物件が欲しかったんだ!」
ダンジョンから少し離れた泉の傍に建った、大きいが決して自己主張しない家。僕の理想はここにあった。
不動産の人に即決で購入を打診し、手続きなどに少々時間をとったが、僕はとうとう自らの拠点を手にいれ、長くお世話になった宿屋を引き払う日が来た。
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「今日まで…、お世話になりました」
「寂しくなるねぇ…また何時でも来なよ?」
名残惜しそうな女将さんに礼を告げ、荷物をもって僕の家に入る。これから僕が生活する僕の場所…否応なく気分が高揚する。家の代金にかなりの額を持っていかれたが、得たものに比べれば些細なこと。
後は家の世話をしてくれる人を雇えば僕の生活は安泰だ。フッフッフ、笑いが止まらない。
その日、テンションがバカ上がりした僕は、ダンジョンにて億越えの稼ぎを叩き出したのだった。
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さて、順調に拠点を入手した僕だったが、ここに来て壁が立ち塞がった。
「使用人が…見付からない…!」
そう、家の世話をしてくれる人が居ないのだ。
この人工島にはそういった関係の人を斡旋、紹介してくれる所があるのだが、不運なことに、全て先約が決まっていて、対応できないとなってしまっていた。
理想の初老ダンディ執事はまたしても例の女の子に押さえられていた。分かっていると言わざるを得ない。
仕方無く日を改めようと家路を戻っていると、道端に倒れている少女が。
「…あの。大丈夫ですか?」
触れたりせず、声だけかける。セクハラ扱いされるのは嫌なのだ。
「………お………、」
「お?」
「お腹…、空きました……」
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「ウーッ!美味しいですっ!見知らぬ人、素敵なご飯をありがとうございますっ!」
輝かしい笑顔で、絶句するような量の料理を平らげていく。空腹だと言うので以前泊まっていた宿屋で女将さんに事情を話し、料理を振る舞ってもらっているが、凄い食欲だ。見ていて逆に清々しい。
「ごめん、女将さん。急に来て無理言って…」
「良いんだよ!たくさん食べて元気になったなら、コッチも作った甲斐があるもんさ!」
「そうですっ!お二人は『ララ』の恩人ですっ!」
夢中でがっついていた少女、ララは大層上機嫌。そして、頭上の『ウサ耳』もピコピコ揺れていた。
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「『亜人』はたまに遠目に見たことはあるけど、知り合いになるとは思わなかったよ」
「ララも人間さんに助けてもらえるなんて、思ってなかったですっ!!」
途方もない量を平らげて落ち着いたララと話す。基本獣人…此方では『亜人』と呼ばれる人々は基本人間と関わらない。
往々にして綺麗所が多い
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