誕生、前代未聞の冒険者
第八話
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ンセカイの氷を力付くで内側から砕いたのには驚いた。ならばと、ホット・ペッパーの炎で燃やしたのだが、それすら乗り越え、灰から元通りになった。嬉しくないことに、着ていた襤褸は戻らなかった。
とまあ、冒険者達に見苦しい戦闘を見せたのだが、最終的には、ホット・ペッパーの熱線で灰すら残さず消滅させてケリを付けた。
終わった後、貪られていた蜘蛛さんの残骸を回収して換金してもらった。とても高額だった。ありがとう蜘蛛さん。
「何にせよ、ヨーンのお陰でダンジョンの上がり下がりが随分楽になる。足を向けて寝れないな」
リビングアーマー撃破の報酬の転移陣はその階層に一度でも到達していれば誰でも転移できるようで、商人達の鼻息が俄然荒くなっていた。
ダンジョン内での物資の補給は需要が高く、特に下層になるほど冒険者の羽振りもいい。
これまでは潜る時間と仕入れの関係でどうしても深く潜れなかったが、今後は転移で大幅に行き来がしやすくなる。
よって商売合戦で更にダンジョンが賑わい、受け付けの人達も忙しそうだが嬉しそうだ。
勿論、冒険者達も気軽に下層に挑戦、撤退しやすくなった事に喜んでいて、何度も笑顔の同業者達に背を叩かれた。
「今後はもっと気張らないと僕も抜かれちゃうかも。頑張るぞ!!」
「…いやいや、ヨーンお前、やって来てる事が異常だからな?」
転移の効果で続々と階層が突破され、僕より先に進む冒険者の可能性を感じ一層の奮起を誓うと、周りで飲んでいた冒険者が呆れていた。
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今回の報酬はかなりの金額で、やはりリビングアーマーの鎧は高く売れた。溶かして金属にし、再利用するんだとか。
貯金された金額を見て、そろそろ宿屋のお世話もどうか、と考えていたので、女将さんに相談する。
「ダンジョンに近くて、手頃で快適な建物が理想なんだ!」
「難しいねぇ…あたしゃそういうのにはとんと疎いから…」
渋い顔の女将さん。知り合いにも訊くとは言ってくれたが、自分でも探すほうがいいだろうと、その日は床についた。
翌朝、早めに起床した僕は、その足で不動産屋を回り、話を聞かせてもらったが、良い結果とはならなかった。
と言うのも、立地がよければ値段は高く、安い物件はダンジョンが遠い。
中々理想の物件は見当たらない。何軒か回って夕方に訪れたら不動産で、理想に近いのはあったが、先約があるらしい。『塔』を攻略しているとかいう女の子だ。先を越された…!
がっくりと肩を落とし、とぼとぼ店を後にする。拠点探し…大変だな…。
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そんな事があって数日、僕はダンジョンを探索しながら、暇を見て物件を見繕い、遂に見付けた。
「多少年数が経ってますが、ご要望に耐えうるかと」
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