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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第146話 救い
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升を餌にするということですね」

 泉は正宗に神妙な表情で尋ねた。正宗は頷く。その後、泉は兵達に指示を出し家屋内の戸板を剥ぎとり、その上に黄忠を寝かせると家屋の外に運び出した。正宗も泉達の後に続いて家屋の外に出た。外に出ると黄忠の姿を見た群衆達が騒ぎ出した。劉表の家臣である黄忠が服の肩の辺りを血まみれにして横たわっているのだ。黄忠は南陽郡の出身で、この城にもよく訪問していたこともあり市井の者達にも顔が通っていた。

「清河王様、黄漢升様が暗殺を企てるはずがございません!」

 群衆の中から突然二十人の平民が正宗の元に進み出てきた。彼らは跪き平伏すると直訴してきた。

「では何故私に弓を放ったのだ。この者が放った矢を私は掴みとり、この者に撃ち返してやった。その結果がこれだ。この者が私を殺そうとしたことに偽りはあるまい?」

 正宗は厳しい視線を彼らに向けたが、彼らは一瞬押し黙るが黙らなかった。

「黄漢升様が卑劣なことをするはずがないです! 必ず何かわけがあったはずです。私達にもよくしてくださいました。どうか。どうかお慈悲を!」

 彼らは必死に正宗に必死に懇願してきた。このままだと黄忠は死罪確定だけに彼らは必死なようだった。

「黄漢升は人望があるようだな。このように人望があるような人物が暗殺という卑劣な手段に訴えねばならなかったのであろうな?」

 正宗は意味深な視線を正宗の目の前で土下座する二十人の民に向けた。彼の言葉は群衆にも聞こえていた。群衆達は互いに視線を交わしていた。正宗はその様子を黙って凝視していた。

「黄漢升の身は私が預かる。そなたらに免じて黄漢升を死罪にはせん。厳正に取り調べた後に沙汰を下す」

 正宗の前で跪いていた二十人は全員は安堵の表情を浮かべていた。董允は正宗のことを凝視していた。
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