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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第146話 救い
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を襲撃してきた。寛大な処置にも限度がある」
「何故、一度目の襲撃で蔡徳珪を誅殺されなかったのですか?」
「南陽郡大守の願いだ。南陽郡大守は蔡徳珪との争いを避けようとしていた。蔡徳珪と争えば矛を交えることもある。そうなれば南陽郡の民の生活が平和な生活が脅かされると申していた。その慈悲深い心に心打たれ私は蔡徳珪を誅殺しなかった。だが、蔡徳珪は違った。蔡徳珪に南陽郡大守の心を解する心は持ちあわせていないということだ」

 正宗の話を群衆は黙って聞いていた。群衆の民達の中には涙を流す者もいた。董允も美羽の心根に撃たれた様子だった。

「ならば尚のこと孫文台の力を借りてはいけません」
「先ほどから聞いていれば何なのだ!」

 董允の言葉に孫権が頭にきた様子で叫んだ。董允は澄ました表情で孫権のことを侮蔑した目つきで見た。

「清河王、私の母・孫文台の朝廷への忠誠に嘘偽りがあろうはずがありません」

 孫権の言葉に群衆から「嘘に決まっている」と野次が聞こえてきた。正宗は視線を送り黙らせた。

「孫文台の件は一先ず置いておく。早く暗殺者の元に向かわねば死なれてしまう。生き証人を失っては元も子もない」
「申し訳ありません」

 正宗の言葉に董允と孫権は謝罪した。正宗は兵に指示して群衆をかき分けていく、それを愛紗達四人が付いていった。群衆の民達も暗殺者のことが気になるのか正宗の後に着いてきた。



 正宗は一軒の家屋に足を踏み入れた。この家屋は彼の命を狙った暗殺者が矢を放った現場だ。家屋の外では正宗の後を着いてきた群衆に加え、彼の大立ち回りを聞きつけた庶民が加わり。外で騒ぐ人々の喧騒が家屋内にいても聞こえてきた。愛紗達は外で群衆が家屋に近寄らないように戸口に陣取っていた。

「将軍。こちらです」

 正宗の存在を確認した兵が正宗の元にかけより、拱手して片膝を着き応対した。正宗は「案内しろ」と短く答え、応対した兵に案内させた。正宗が二階に上がると泉と五人の兵に囲まれぐったりと倒れている黒装束の人間がいた。その人物の体格と顔を覆う覆面から出ている長い髪から女であることは直ぐに分かった。

「正宗様」

 泉は正宗を確認すると声をかけた。正宗は女の凝視して彼女の気の流れを読んだ。

「気の流れが乱れているな。急激に衰弱しているようだな」
「はい。衰弱の仕方が尋常ではありません。この者の使用した鏃には毒が使用されていたことは間違いありません」

 泉は矢を正宗に見せた。

「この矢は壁に突き刺さっておりました。この女の右肩に出血痕がありましたので、矢は幸い貫通したものと思います」

 正宗は泉の説明を聞き終わると、女に近かづき、彼女の顔を確認するために膝をつき腰を屈めると女の顔を覆う布を掃き取った。


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